教育(2)
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教育


ストレスとは……(子どもとストレス)


【子どもとストレス】

●ストレス学説

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適度なストレスは、生活のスパイス。
それは常識だが、では「適度なストレス」
とは、どの程度のストレスのことを
いうのか。

称して、「はやし浩司のストレス学説」

+++++++++++++++++

 適度なストレスは、生活のスパイス。それが、生活に、ある種の緊張感をもたらす。それは常
識だが、では「適度なストレス」とは、どの程度のストレスのことをいうのか。それがわからな
い。

●正のストレス、負のストレス

 ストレス(生理的ひずみ)にも、2種類ある。たまたま、私は、それを同時に経験しつつある。

 来月(10月)から、数年ぶりに、言葉クラブをもつ。生徒も、5、6人、集まった。で、これが
今、ある種の緊張感となって、私の心を包んでいる。これが正のストレス。

 一方、この先ずっと、私は、グループ・ホームへ入った兄のめんどうをみなければならない。
ひょっとしたら、兄のほうが、私より長生きをするかもしれない。途中、いろいろな医療費も負
担することになるだろう。それを考えると、気が重くなる。これが負のストレス。

 つまり前向きに、自分を発展させていくストレスが、正のストレスということになる。一方、袋小
路に入ったように、先が見えないストレスが、負のストレスということになる。

 適度なストレスとはいうものの、正のストレスなら、まだ何とかなる。ここでいう、生活のスパイ
スになる。

 しかし負のストレスは、そうではない。それがいくら軽いものであっても、(重いものなら、当然
だが)、心の内側にペタッと入りついて、その心を、重く苦しいものにする。

●住んでいる世界で異なるストレス

 心の広さというのは、千差万別。人によって、みな、異なる。

 井戸のような世界に住んでいる人は、小さな石ころが落ちただけで、それを大きなストレス
(ストレッサー)にしてしまう。

 一方、大きな海のような世界に住んでいる人は、渦巻く台風のような風が起きても、平気。

 つまりは住んでいる世界、あるいはその人の心の広さによって、同じストレスでも、感じ方ま
で、異なってくる。

 それが正のストレスであれ、負のストレスであれ、事情は同じ。

 では、私たちは、ストレスに対して、どのように考え、どのように対処すればよいのか。

●ストレス学説 

 ストレスというのは、もともとは「圧力」を意味する(セリエ)。その圧力が、心理的負担になり、
心理的反応を示した状態を、「ストレス」という。「生理的ひずみ」と考えると、わかりやすい。

 しかしそのストレスの受け方には、ここにも書いたように、個人差がある。たとえば同じストレ
ス(圧力)でも、人によって、それを重圧に思う人もいれば、そうでない人もいる。そこで今で
は、ストレスに個人差、つまり個人変数を加えて考えるのが常識になっている(ラザラスとフォ
ルクスマン)。

 同じストレスであるにもかかわらず、人によって個人差が出るのは、それぞれの人がもつ認
知プロセスがちがうからと考えられている。わかりにくい言葉だが、要するに、その人が置かれ
た環境、心理状態、精神状態、経験などにより、その処理方法が異なるということ。

 たとえばある男性(40歳)は、こう言った。「オレは、借金がないと仕事をする気が起きない」
と。

 また別の男性(40歳)は、こう言った。「オレは、借金に追われるようになると、仕事が手につ
かなくなる」と。

 同じ(借金)でも、それを受け取る側の認知プロセスによって、ストレスにするかしないかが決
まってくる。こうしたストレスへの対処方法を総称して、「コーピング(coping)」と呼ぶ学者もい
る。

●では、どうするか?

 ストレスと戦うためには、2つの方法が考えられる。ひとつは、そのストレスそのものと戦うと
いう方法。もう1つは、自分の住む世界を、より広く、大きくすることによって対処するという方
法である。
 つまり心理的圧力となるような原因を取り除くのが、前者。広い海のような心をもち、小石が
落ちたくらいでは、ビクともしない。そういう状態にもっていくのが、後者ということになる。

 で、私のばあいは、ストレスの原因となるようなストレッサー、とくに冒頭にあげた負のストレ
スを、心のどこかで感じたばあいには、できるだけ早い段階で、それを解消するように努めて
いる。もともとあまりストレスに強い精神構造にはできていない。

 つぎに、できるだけ広い心を用意する。具体的には、さまざまな経験をすることによって、広
い心をもつようにする。そのためには、情報が重要な役割をになうことが多い。そういう意味で
は、無知、無学は、ストレスの大敵と考えてよい。

 ほかに、たとえば、心の防衛機制に準じて、(1)合理化、(2)反動形成、(3)同一視、(4)代
償行動、(5)逃避、(6)退行、(7)補償、(8)投影、(9)抑圧、(10)置換、(11)否認、(12)
知性化という方法などがある。

どう反応するかは、もちろんそれぞれの人によって異なる。が、人というのは、それをストレスと
感じたときから、それに長く耐える力は、あまりない。これは幼児のばあいだが、日中、ほんの
5〜10分間程度ストレスを感じただけで、精神疲労症状を起こす子どもは、少なくない。

 子どもによっては、頭痛、腹痛を訴えることもある。吐く息が臭くなったり、下痢症状を示すこ
ともある。それが周期的に長くつづいたりすると、心をゆがめることも少なくない。神経症を発
症したり、さらに情緒障害、精神障害に発展することも珍しくない。

 話が脱線したが、今、あなたが何かのストレスを感じているなら、まずその中身を知る。敵を
知る。それがストレスと立ち向かう、第1歩ということになる。
(はやし浩司 家庭教育 育児 育児評論 教育評論 幼児教育 子育て はやし浩司 ストレ
ス、ストレッサー ストレス学説 正のストレス、負のストレス)

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ストレスについて、以前書いた原稿の
中から、いくつかを集めてみました。

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子どもが自慰をするとき

●ある母親からの質問

 ある母親からこんな相談が寄せられた。いわく、「私が居間で昼寝をしていたときのこと。6歳
になった息子が、そっと体を私の腰にすりよせてきました。小さいながらもペニスが固くなって
いるのがわかりました。やめさせたかったのですが、そうすれば息子のプライドをキズつけるよ
うに感じたので、そのまま黙ってウソ寝をしていました。

こういうとき、どう対処したらいいのでしょうか」(32歳母親)と。

●罪悪感をもたせないように

 フロイトは幼児の性欲について、次の3段階に分けている。(1)口唇期……口の中にいろい
ろなものを入れて快感を覚える。(2)肛門期……排便、排尿の快感がきっかけとなって肛門に
興味を示したり、そこをいじったりする。(3)男根期……満4歳くらいから、性器に特別の関心
をもつようになる。

 自慰に限らず、子どもがふつうでない行為を、習慣的に繰り返すときは、まず心の中のストレ
ス(生理的ひずみ)を疑ってみる。

子どもはストレスを解消するために、何らかの代わりの行為をする。これを代償行為という。指
しゃぶり、爪かみ、髪いじり、体ゆすり、手洗いグセなど。自慰もその一つと考える。

つまりこういう行為が日常的に見られたら、子どもの周辺にそのストレスの原因(ストレッサー)
となっているものがないかをさぐってみる。ふつう何らかの情緒不安症状(ふさぎ込み、ぐずぐ
ず、イライラ、気分のムラ、気難しい、興奮、衝動行為、暴力、暴言)をともなうことが多い。そ
のため頭ごなしの禁止命令は意味がないだけではなく、かえって症状を悪化させることもある
ので注意する。

●スキンシップは大切に

 さらに幼児のばあい、接触願望としての自慰もある。幼児は肌をすり合わせることにより、自
分の情緒を調整しようとする。反対にこのスキンシップが不足すると、情緒が不安定になり、情
緒障害や精神不安の遠因となることもある。子どもが理由もなくぐずったり、訳のわからないこ
とを言って、親をてこずらせるようなときは、そっと子どもを抱いてみるとよい。最初は抵抗する
そぶりを見せるかもしれないが、やがて静かに落ちつく。

 この相談のケースでは、親は子どもに遠慮する必要はない。いやだったらいやだと言い、サ
ラッと受け流すようにする。罪悪感をもたせないようにするのがコツ。

 一般論として、男児の性教育は父親に、女児の性教育は母親に任すとよい。異性だとどうし
ても、そこにとまどいが生まれ、そのとまどいが、子どもの異性観や性意識をゆがめることが
ある。
(はやし浩司 家庭教育 育児 育児評論 教育評論 幼児教育 子育て はやし浩司 子供
の性教育 性教育 子供の性 性 自慰 子供の自慰 自慰行為)


Hiroshi Hayashi+++++++++++はやし浩司

●子どものおねしょとストレス

 いわゆる生理的ひずみをストレスという。多くは精神的、肉体的な緊張が引き金になることが
多い。

たとえば急激に緊張すると、副腎髄質からアドレナリンの分泌が始まり、その結果心臓がドキ
ドキし、さらにその結果、脳や筋肉に大量の酸素が送り込まれ、脳や筋肉の活動が活発にな
る。

が、そのストレスが慢性的につづくと、副腎機能が亢進するばかりではなく、「食欲不振や性機
能の低下、免疫機能の低下、低体温、胃潰瘍などの種々の反応が引き起こされる」(新井康
允氏)という。こうした現象はごく日常的に、子どもの世界でも見られる。

 何かのことで緊張したりすると、子どもは汗をかいたり、トイレが近くなったりする。さらにその
緊張感が長くつづくと、脳の機能そのものが乱れ、いわゆる神経症を発症する。

ただ子どものばあい、この神経症による症状は、まさに千差万別で、定型がない。「尿」につい
ても、夜尿(おねしょ)、頻尿(たびたびトイレに行く)、遺尿(尿意がないまま漏らす)など。

私がそれを指摘すると、「うちの子はのんびりしています」と言う親がいるが、日中、明るく伸び
やかな子どもでも、夜尿症の子どもはいくらでもいる。(尿をコントロールしているのが、自律神
経。その自律神経が何らかの原因で変調したと考えるとわかりやすい。)同じストレッサー(スト
レスの原因)を受けても、子どもによっては受け止め方が違うということもある。

つまり子どもによって、それぞれ認知プロセス(=ストレスに対する耐性)は異なる。

 しかし考えるべきことは、ストレスではない。そしてそれから受ける生理的変調でもない。(ほ
とんどのドクターは、そういう視点で問題を解決しようとするが……。)

大切なことは、仮にそういうストレスがあったとしても、そのストレスでキズついた心をいやす場
所があれば、それで問題のほとんどは解決するということ。ストレスのない世界はないし、また
ストレスと無縁であるからといって、それでよいというのでもない。

ある意味で、人は、そして子どもも、そのストレスの中でもまれながら成長する。で、その結果、
言うまでもなく、そのキズついた心をいやす場所が、「家庭」ということになる。

 子どもがここでいうような、「変調」を見せたら、いわば心の黄信号ととらえ、家庭のあり方を
反省する。手綱(たづな)にたとえて言うなら、思い切って、手綱をゆるめる。一番よいのは、子
どもの側から見て、親の視線や存在をまったく意識しなくてすむような家庭環境を用意する。

たいていのばあい、親があれこれ心配するのは、かえって逆効果。子ども自身がだれの目を
感ずることもなく、ひとりでのんびりとくつろげるような家庭環境を用意する。子どものおねしょ
についても、そのおねしょをなおそうと考えるのではなく、家庭のあり方そのものを考えなおす。

そしてあとは、「あきらめて、時がくるのを待つ」。それがおねしょに対する、対処法ということに
なる。
(はやし浩司 家庭教育 育児 育児評論 教育評論 幼児教育 子育て はやし浩司 子供
の夜尿症 おねしょ 頻尿 子どものおねしょ おねしょう)


Hiroshi Hayashi+++++++++++はやし浩司

●私のストレス発散法

 ストレス(生理的なひずみ、あるいは「気」のうっ積)で苦しんでいる人は、多い。実のところ、
私は30歳〜35歳のころ、偏頭痛で苦しんだ。年に数回、あるいはもっと多い頻度で、偏頭痛
の発作が起きた。それこそ四転八転の苦しみを味わった。「頭を切ってくれ!」と叫んで、ふと
んの中でもがいたことも多い。その苦しみは、偏頭痛を味わったものでないとわかるまい。

 もっとも当時は、偏頭痛に対する理解も治療法もなく、(あったかもしれないが、私が相談した
医師は、別の診断名をくだしていた。ある大病院では、脳腫瘍と診断し、開頭手術まで予定し
た)、市販の薬をのんでは、ゲーゲーとそれを吐き出していた。そういう意味では、まさに毎日
がストレスとの戦いでもあった。

 そんな中、やがて自分なりの対処法を身につけるようになった。

 まず第一に自分はストレスに弱いことを自覚した。そのため、ストレッサー(ストレスの原因)
となりやすいものは、できるだけ避けるようにした。たとえば人と会う約束も、1日1回にすると
か、など。あるいはスケジュールには、余裕をもたせるなど。

 つぎに、当然のことながら、治療法をさがした。たまたま東洋医学の勉強もしていたので、あ
らゆる漢方薬を試してみた。しかし結局は、そのうち、たいへんよく効く西洋薬が開発されて、
それでなおるようになった。ただその薬は、のむと胃を荒らすので、できるだけのまないように
している。

 が、最善の治療法は、汗をかくこと。ただし、偏頭痛がひどくなってからでは、汗をかくと、か
えって……というより、運動することそのものができない。軽い段階で、思い切って汗をかく。

運動がよいことは言うまでもないが、その中でも、私のばあい、エンジン付の草刈り機で、バン
バンと草を刈るのが効果的。一汗かくと、偏頭痛そのものが消える。だから「おかしい」と感じ
たら、あたりかまわず草を刈ることにしている。理由はよくわからないが、下半身は毎日、自転
車できたえているため、走ったり、自転車にのっても、あまり汗をかかない。しかし反対に、上
半身は、ほとんど鍛えていないので、草を刈るとその上半身を使うため、汗をかくのではない
か……と、勝手にそう解釈している。

 今でも、少し油断すると、頭重が起きる。しかしそれは同時に、私の健康のバロメーターでも
ある。持病もうまくつきあうと、それを反対に利用することができる。「少し頭が重くなったから、
仕事を減らせ」とか。そういうふうに、利用できる。

 この話は、子育てとは関係ないが、育児疲れや育児ノイローゼで、偏頭痛になる人も多いの
で、参考のために書いた。


Hiroshi Hayashi+++++++++++はやし浩司

●わずらわしい世界

 情報の時代というが、本当に、この世界、わずらわしい。昨夜も、居間でお茶を飲んでいた
ら、若い女性から電話がかかってきて、息子の電話番号を教えろ、と。私が断ると、「何を偉そ
うに!」と。勝手に他人の家に電話をかけてきて、「何を偉そうに!」は、ない。

 ひとり静かに生きることは、一見、楽なようにみえて、楽ではない。「一日」という時間帯をみ
ても、ひとり静かでのんびりできる時間のほうが、少ない。つぎからつぎへと、いろいろな事件
が起きる。そのほとんどは、向こうからやってくる。

できるなら、そういうわずらわしさから、解放されたい。しかし、それは死ぬまで、不可能だろ
う。ただ私のばあい、朝、5時ごろ目が覚めて、それから7時、8時まで、こうして原稿を書いて
いるが、その時間ほど、「ひとり」でいられる時間はない。貴重な時間だ。しかし、それでわずら
わしさが消えるわけではない。

 こうしたわずらわしさがあれば、それと戦うしかない。受け身になったとき、そのわずらわしさ
は、ストレッサーとなる。問題は戦い方だ。しかしひとたび情緒が不安定になると、それも簡単
ではない。

子どものばあい、大きく分けて、三つのタイプに分かれる。(1)攻撃型、激情型、暴力型、(2)
内閉型、オドオド型、萎縮型、(3)執着型、こだわり型、依存型。

思いついたまま書いたので、正しくないかもしれないが、要するに、大声を出して暴れるタイプ
と、グズグズして引きこもるタイプ、それにモノにこだわって、それを異常にこだわるタイプがあ
る。

 おとなもそうで、私のばあいは、(1)の攻撃型と、(2)内閉型の間をいったりきたりする。精神
状態がフワフワし、自分でもつかみどころがなくなってしまう。爆発しそうな自分を必死でこらえ
たり、反対に、電話に出るのも、おっくうになったりする。

あるいはときどき、(3)のモノにこだわるときもある。そういうときは、それまでほしかった高価
なものを、パッと買ったりする。それで気分が晴れることもある。あとはカルシウム剤をたっぷり
と飲んで、風呂に入って、よく眠る。「明日は明日の風が吹く」と、そう思いながら、床につく。

 昨日も一日、何かとわずらわしいことがつづいた。そのため朝なのに、少し頭が痛い。しかし
考えても始まらない。「何とかなるだろう」と、自分をなぐさめながら、前に進むしかない。がんば
りましょう。がんばります。では、みなさん、おはようございます。
(02−11−16)


Hiroshi Hayashi+++++++++++はやし浩司

●心のメカニズム

*****************

少し不謹慎な話で恐縮だが、セックス
をすると、言いようのない快感が、脳
全体をおおうのがわかる。これはセッ
クスという行為によって刺激され、脳
にモルヒネ様の物質が放出されるため
である。しかしこういう快感があるか
ら人は、セックスをする。つまり、種
族を私たちは維持できる。同じように、
よいことをしても、脳の中で、同様の
変化が起きる? それについて考えて
みた。

*****************

 まず、数か月前に私はこんなエッセーを書いた。その中で、私は「気持ちよさ」とか、「ここち
よさ」という言葉を使って、「正直に生きることの大切さ」について書いてみた。

●常識の心地よさ 

 常識をみがくことは、身のまわりの、ほんのささいなことから始まる。花が美しいと思えば、美
しいと思えばよい。青い空が気持ちよいと思えば、気持ちよいと思えばよい。そういう自分に静
かに耳を傾けていくと、何が自分にとってここちよく、また何が自分にとって不愉快かがわかる
ようになる。

無理をすることは、ない。道ばたに散ったゴミやポリ袋を美しいと思う人はいない。排気ガスで
汚れた空を気持ちよいと思う人はいない。あなたはすでにそれを知っている。それが「常識」
だ。

 ためしに他人に親切にしてみるとよい。やさしくしてあげるのもよい。あるいは正直になってみ
るのもよい。先日、あるレストランへ入ったら、店員が計算をまちがえた。まちがえて50円、余
計に私につり銭をくれた。道路へ出てからまたレストランへもどり、私がその50円を返すと、店
員さんはうれしそうに笑った。まわりにいた客も、うれしそうに笑った。そのここちよさは、みん
なが知っている。

 反対に、相手を裏切ったり、相手にウソを言ったりするのは、不愉快だ。そのときはそうでな
くても、しばらく時間がたつと、人生をムダにしたような嫌悪感に襲われる。実のところ、私は若
いとき、そして今でも、平気で人を裏切ったり、ウソをついている。自分では「いけないことだ」と
思いつつ、どうしてもそういう自分にブレーキをかけることができない。

私の中には、私であって私でない部分が、無数にある。ひねくれたり、いじけたり、つっぱった
り……。先日も女房と口論をして、家を飛び出した。で、私はそのあと、電車に飛び乗った。
「家になんか帰るものか」とそのときはそう思った。で、その夜は隣町のT市のホテルに泊まる
つもりでいた。が、そのとき、私はふと自分の心に耳を傾けてみた。「私は本当に、ホテルに泊
まりたいのか」と。答は「ノー」だった。私は自分の家で、自分のふとんの中で、女房の横で寝
たかった。だから私は、最終列車で家に帰ってきた。

 今から思うと、家を飛び出し、「女房にさみしい思いをさせてやる」と思ったのは、私であって、
私でない部分だ。私には自分にすなおになれない、そういういじけた部分がある。いつ、なぜそ
ういう部分ができたかということは別にしても、私とて、ときおり、そういう私であって私でない部
分に振りまわされる。しかしそういう自分とは戦わねばならない。

 あとはこの繰りかえし。ここちよいことをして、「善」を知り、不愉快なことをして、「悪」を知る。
いや、知るだけでは足りない。「善」を追求するにも、「悪」を排斥するにも、それなりに戦わね
ばならない。それは決して楽なことではないが、その戦いこそが、「常識」をみがくこと、そのも
のと言ってもよい。

●なぜ気持ちよいのか

 少し話が専門的になるが、大脳の中心部(大脳半球の内側面)に、辺縁系(大脳辺縁系)と
呼ばれる組織がある。「辺縁系」というのは、このあたりが、間脳や脳梁(のうりょう)を、ちょう
ど包むようにフチどっていることから、そう名づけられた。

 その辺縁系の中には、認知記憶をつかさどる海馬(かいば)や、動機づけをする帯状回(た
いじょうかい)、さらに価値判断をする扁桃体(へんとうたい・扁桃核ともいう)がある。

その扁桃体が、どうやら、人間の善悪の感覚をつかさどっているらしいことが、最近の研究で
わかってきた。もう少しわかりやすく言うと、大脳(新皮質部)でのさまざまな活動が、扁桃体に
信号を送り、それを受けて、扁桃体が、麻薬様の物質を放出する。その結果、脳全体が快感
に包まれるというのだ。

ここに書いたケースで言えば、私が店員さんに50円のお金を渡したことが、扁桃体に信号を
送り、その扁桃体が、私の脳の中で、麻薬様の物質を放出したことになる。

 もっとも脳の中でも麻薬様の物質が作られているということは、前から知られていた。そのひ
とつに、たとえばハリ麻酔がある。体のある特定の部位に刺激を与えると、その刺激が神経を
経て、脳に伝えられる。すると脳の中で、その麻薬様物質が放出され、痛みが緩和される。私
は23、4歳のころからこのハリ麻酔に興味をもち、一時は、ある研究所(社団法人)から、「教
授」という肩書きをもらったこともある。

 それはそれとして、麻薬様物質としては、現在数10種類ほど発見されている。その麻薬様物
質は、大きく分けて、エンドルフィン類と、エンケファリン類の二つに分類される。これらの物質
は、いわば脳の中で生産される自家製のモルヒネと思えばよい。こうした物質が放出されるこ
とで、その人はここちよい陶酔感を覚えることができる。

 つまりよいことをすると、ここちよい感じがするのは、大脳(新皮質部)が、思考としてそう感ず
るのではなく、辺縁系の中にある扁桃体が、大脳からの信号を得て、麻薬様の物質を放出す
るためと考えられる。少し乱暴な意見に聞こえるかもしれないが、心の働きというのも、こうし
て、ある程度は、大脳生理学の分野で説明できるようになった。

 で、その辺縁系は、もともとは動物が生きていくための機能をもった原始的な脳と考えられて
いた。私が学生時代には、だれかからは忘れたが、この部分は意味のない脳だと教えられた
こともある。

しかしその後の研究で、この辺縁系は、ここにも書いたように、生命維持と種族維持だけでは
なく、もろもろの心の活動とも、深いかかわりをもっていることがわかってきた。そうなると人間
は、「心」を、かなりはやい段階、たとえばきわめて原始的な生物のときからもっていたというこ
とになる。ということは、同属である、犬やネコにも「心」があると考えてよい。実際、こんなこと
がある。

 私は飼い犬のポインター犬を連れて、よく散歩に行く。あの犬というのは、知的なレベルは別
としても、情動活動(心の働き)は、人間に劣らずともあると言ってよい。喜怒哀楽の情はもち
ろんのこと、嫉妬もするし、それにどうやら自尊心もあるらしい。

たとえば散歩をしていても、どこかの飼い犬がそれを見つけて、ワンワンとほえたりすると、突
然、背筋をピンとのばしたりする。人間風に言えば、「かっこづける」ということになる。そして何
か、よいことをしたようなとき、頭をなでてやり、それをほめたりすると、実にうれしそうに、そし
て誇らしそうな様子を見せる。恐らく、……というより、ほぼまちがいなく、犬の脳の中でも、人
間の脳の中の活動と同じことが起きていると考えてよい。つまり大脳(新皮質部)から送られた
信号が、辺縁系の扁桃体に送られ、そこで麻薬様の物質が放出されている!

●心の反応を決めるもの

 こう考えていくと、善悪の判断にも、扁桃体が深くかかわっているのではないかということにな
る。それを裏づける、こんなおもしろい実験がある。

 アメリカのある科学者(ラリー・カーヒル)は、扁桃体を何らかの事情で失ってしまった男性
に、つぎのようなナレーションつきのスライドを見せた。そのスライドというのは、ある少年が母
親といっしょに歩いているとき、その少年が交通事故にあい、重症を負って、もがき苦しむとい
う内容のものであった。

 そしてラリー・カーヒルは、そのスライドを見せたあと、ちょうど一週間後に再び、その人に病
院へ来てもらい、どんなことを覚えているかを質問してみた。

 ふつう健康な人は、それがショッキングであればあるほど、その内容をよく覚えているもの。
が、その扁桃体を失ってしまった男性は、スライドを見た直後は、そのショッキングな内容をふ
つうの人のように覚えていたが、一週間後には、そのショッキングな部分について、ふつうの人
のように、とくに覚えているということはなかったというのだ。

 これらの実験から、山元大輔氏は『脳と記憶の謎』(講談社現代新書)の中でつぎのように書
いている。

(1)(扁桃体のない男性でも)できごとの記憶、陳述記憶はちゃんと保たれている。
(2)扁桃体がなくても、情動反応はまだ起こる。これはたぶん、大脳皮質がある程度、その働
きを、「代行」するためではないか。
(3)しかし情動記憶の保持は、致命的なほど、失われてしまう。

 わかりやすく言えば、ショッキングな場面を見て、ショックを受けるという、私たちが「心の反
応」と呼んでいる部分は、扁桃体がつかさどっているということになる。

●心の反応を阻害(そがい)するもの

 こうした事実を、子育ての場で考えると、つぎのように応用できる。つまり子どもの「心」という
のも、大脳生理学の分野で説明できるし、それが説明できるということは、「心」は、教育によっ
て、はぐくむことができるということになる。

 そこで少し話がそれるが、こうした脳の機能を阻害するものに、「ストレス」がある。たとえば
ニューロンの死を引き起こす最大の原因は、アルツハイマー型などの病気は別として、ストレ
スだと言われている。

何かの精神的圧迫感が加わると、副腎皮質から、グルココルチコイドという物質が分泌され
る。そしてその物質が、ストレッサーから身を守るため、さまざまな反応を体の中で引き起こす
ことが知られている。

 このストレスが、一時的なものなら問題はないが、それが、長期間にわたって持続的につづく
と、グルココルチコイドの濃度があがりっぱなしになって、ニューロンに致命的なダメージを与
える。そしてその影響をもっとも強く受けるのが、辺縁系の中の海馬だという(山元大輔氏)。

 もちろんこれだけで、ストレスが、子どもの心をむしばむ結論づけることはできない。あくまで
も「それた話」ということになる。しかし子育ての現場では、経験的に、長期間何らかのストレス
にさらされた子どもが、心の冷たい子どもになることはよく知られている。

イギリスにも、『抑圧は悪魔を生む』という格言がある。この先は、もう一度、いつか機会があ
れば煮つめてみるが、そういう意味でも、子どもは、心豊かな、かつ穏やかな環境で育てるの
がよい。そしてそれが、子どもの心を育てる、「王道」ということになる。

 ついでに、昨年書いたエッセーを、ここに転載しておく。ここまでに書いたことと、少し内容が
重複するが、許してほしい。

●子どもの心が破壊されるとき

 A小学校のA先生(小1担当女性)が、こんな話をしてくれた。「1年生のT君が、トカゲをつか
まえてきた。そしてビンの中で飼っていた。そこへH君が、生きているバッタをつかまえてきて、
トカゲにエサとして与えた。私はそれを見て、ぞっとした」と。

 A先生が、なぜぞっとしたか、あなたはわかるだろうか。それを説明する前に、私にもこんな
経験がある。もう20年ほど前のことだが、1人の子ども(年長男児)の上着のポケットを見る
と、きれいに玉が並んでいた。私はてっきりビーズ玉か何かと思った。が、その直後、背筋が
凍りつくのを覚えた。

よく見ると、それは虫の頭だった。その子どもは虫をつかまえると、まず虫にポケットのフチを
口でかませる。かんだところで、体をひねって頭をちぎる。ビーズ玉だと思ったのは、その虫の
頭だった。

また別の日。小さなトカゲを草の中に見つけた子ども(年長男児)がいた。まだ子どもの小さな
トカゲだった。「あっ、トカゲ!」と叫んだところまではよかったが、その直後、その子どもはトカ
ゲを足で踏んで、そのままつぶしてしまった!

 原因はいろいろある。貧困(それにともなう家庭騒動)、家庭崩壊(それにともなう愛情不
足)、過干渉(子どもの意思を無視して、何でも親が決めてしまう)、過関心(子どもの側からみ
て息が抜けない家庭環境)など。威圧的(ガミガミと頭ごなしに言う)な家庭環境や、権威主義
的(「私は親だから」「あなたは子どもだから」式の問答無用の押しつけ)な子育てが、原因とな
ることもある。要するに、子どもの側から見て、「安らぎを得られない家庭環境」が、その背景に
あるとみる。さらに不平や不満、それに心配や不安が日常的に続くと、それが子どもの心を破
壊することもある。

イギリスの格言にも、『抑圧は悪魔を生む』というのがある。抑圧的な環境が長く続くと、ものの
考え方が悪魔的になることを言ったものだが、このタイプの子どもは、心のバランス感覚をなく
すのが知られている。

「バランス感覚」というのは、してよいことと悪いことを、静かに判断する能力のことをいう。これ
がないと、ものの考え方が先鋭化したり、かたよったりするようになる。昔、こう言った高校生
がいた。「地球には人間が多すぎる。核兵器か何かで、人口を半分に減らせばいい。そうすれ
ば、ずっと住みやすくなる」と。そういうようなものの考え方をするが、言いかえると、愛情豊か
な家庭環境で、心静かに育った子どもは、ほっとするような温もりのある子どもになる。心もや
さしくなる。

 さて冒頭のA先生は、トカゲに驚いたのではない。トカゲを飼っていることに驚いたのでもな
い。A先生は、生きているバッタをエサとして与えたことに驚いた。A先生はこう言った。「そうい
う残酷なことが平気でできるということが、信じられませんでした」と。

 このタイプの子どもは、総じて他人に無関心(自分のことにしか興味をもたない)で、無感動
(他人の苦しみや悲しみに鈍感)、感情の動き(喜怒哀楽の情)も平坦になる。よく誤解される
が、このタイプの子どもが非行に走りやすいのは、そもそもそういう「芽」があるからではない。
非行に対する抵抗力がないからである。悪友に誘われたりすると、そのままスーッと仲間に入
ってしまう。ぞっとするようなことをしながら、それにブレーキをかけることができない。だから結
果的に、「悪」に染まってしまう。

 そこで一度、あなたの子どもが、どんなものに興味をもち、関心を示すか、観察してみてほし
い。子どもらしい動物や乗り物、食べ物や飾りであればよし。しかしそれが、残酷なゲームや、
銃や戦争、さらに日常的に乱暴な言葉や行動が目立つというのであれば、家庭教育のあり方
をかなり反省したらよい。

子どものばあい、「好きな絵をかいてごらん」と言って紙とクレヨンを渡すと、心の中が読める。
子どもらしい楽しい絵がかければ、それでよし。しかし心が壊れている子どもは、おとなが見て
も、ぞっとするような絵をかく。

 ただし、小学校に入学してからだと、子どもの心を修復するのはたいへん難しい。修復すると
しても、四、五歳くらいまで。穏やかで、静かな生活を大切にする。
(02−11−23)
(はやし浩司 家庭教育 育児 育児評論 教育評論 幼児教育 子育て はやし浩司 心を
ゆがめる子供 扁桃体 ストレスと子供 子供とストレス)


+++++++++++++++++++++++

ここまでの原稿に関連して、
以前にマガジンで配送した原稿を、送ります。
前に読んでくださった方は、とばしてください。

+++++++++++++++++++++++

●性善説と性悪説

 胎児は母親の胎内で、過去数10万年の進化の過程を、そのまま繰り返す。ある時期は、魚
そっくりのときもあるそうだ。

 同じように、生まれてから、知能の発達とは別に、人間は、「心の進化」を、そのまま繰り返
す。……というのは、私の説だが、乳幼児を観察していると、そういうことを思わせる場面に、
よく出会う。

たとえば生後まもなくの新生児には、喜怒哀楽の情はない。しかし成長するにつれて、さまざま
な感情をもつようになる。よく知られた現象に、「天使の微笑み」というのがある。眠っている赤
子が、何を思うのか、ニコニコと笑うことがある。こうした「心」の発達を段階的に繰り返しなが
ら、子どもは成長する。

 最近の研究では、こうした心の情動をコントロールしているのが、大脳の辺縁系の中の、扁
桃体(へんとうたい)であるということがわかってきた。

たしかに知的活動(大脳連合野の新新皮質部)と、情動活動は、違う。たとえば1人の幼児を、
皆の前でほめたとする。するとその幼児は、こぼれんばかりの笑顔を、顔中に浮かべる。その
表情を観察してみると、それは知的な判断がそうさせているというよりは、もっと根源的な、つ
まり本能的な部分によってそうしていることがわかる。が、それだけではない。

 幼児、なかんずく4^6歳児を観察してみると、人間は、生まれながらにして善人であることが
わかる。中に、いろいろ問題のある子どもはいるが、しかしそういう子どもでも、生まれながら
にそうであったというよりは、その後の、育て方に問題があってそうなったと考えるのが正しい。

子どもというのは、あるべき環境の中で、あるがままに育てれば、絶対に悪い子どもにはなら
ない。(こう断言するのは、勇気がいることだが、あえてそう断言する。)

 こうした幼児の特質を、先の「心の進化」論にあてはめてみると、さらにその特質がよくわか
る。

 仮に人間が、生まれながらにして悪人なら……と仮定してみよう。たとえば仲間を殺しても、
それを快感に覚えるとか。人に意地悪をしたり、人をいじめても、それを快感に覚えるとか。新
生児についていうなら、生まれながらにして、親に向かって、「ババア、早くミルクをよこしやが
れ。よこさないとぶっ殺すぞ」と言ったとする。もしそうなら、人間はとっくの昔に、絶滅していた
はずである。

つまり今、私たちがここに存在するということは、とりもなおさず、私たちが善人であるという証
拠ということになる。私はこのことを、アリの動きを観察していて発見した。

 ある夏の暑い日のことだった。私は軒先にできた蜂の巣を落とした。私もワイフも、この1、2
年で一度ハチに刺されている。今度ハチに刺されたら、アレルギー反応が起きて、場合によっ
ては、命取りになるかもしれない。それで落とした。殺虫剤をかけて、その巣の中の幼虫を地
面に放り出した。そのときのこと。時間にすれば10分もたたないうちに、無数の小さなアリが
集まってきて、その幼虫を自分たちの巣に運び始めた。

 最初はアリたちはまわりを取り囲んでいただけだが、やがてどこでどういう号令がかかってい
るのか、アリたちは、一方向に動き出した。するとあの自分の体の数百倍以上はあるハチの
幼虫が、動き出したのである!

 私はその光景を見ながら、最初は、アリたちにはそういう行動本能があり、それに従っている
だけだと思った。しかしそのうち、自分という人間にあてはめてみたとき、どうもそれだけではな
いように感じた。

たとえば私たちは夫婦でセックスをする。そのとき本能のままだったら、それは単なる排泄行
為に過ぎない。しかし私たちはセックスをしながら、相手を楽しませようと考える。そして相手が
楽しんだことを確認しながら、自分も満足する。同じように、私はアリたちにも、同じような作用
が働いているのではないかと思った。つまりアリたちは、ただ単に行動本能に従っているだけ
ではなく、「皆と力を合わせて行動する喜び」を感じているのではないか、と。またその喜びがあ
るからこそ、そういった重労働をすることができる、と。

 この段階で、もし、アリたちがたがいに敵対し、憎みあっていたら、アリはとっくの昔に絶滅し
ていたはずである。言いかえると、アリはアリで、たがいに助けあう楽しみや喜びを感じている
に違いない。またそういう感情(?)があるから、そうした単純な、しかも過酷な肉体労働をする
ことができるのだ、と。

 もう結論は出たようなものだ。人間の性質について、もともと善なのか(性善説)、それとも悪
なのか(性悪説)という議論がよくなされる。しかし人間は、もともと「善なる存在」なのである。
私たちが今、ここに存在するということが、何よりも、その動かぬ証拠である。繰り返すが、もし
私たち人間が生まれながらにして悪なら、私たちはとっくの昔に、恐らくアメーバのような生物
にもなれない前に、絶滅していたはずである。

 私たち人間は、そういう意味でも、もっと自分を信じてよい。自分の中の自分を信じてよい。
自分と戦う必要はない。自分の中の自分に静かに耳を傾けて、その声を聞き、それに従って
行動すればよい。もともと人間は、つまりあらゆる人々は、善人なのである。
(02−8−3)

参考文献……『脳と記憶の謎』山元大輔(講談社現代新書)
      『脳のしくみ』新井康允(日本実業出版社)ほか
(はやし浩司 家庭教育 育児 育児評論 教育評論 幼児教育 子育て はやし浩司 性善
説 ストレスとは ストレス学説)








キレる子供

【特集・キレる子ども】(1)


【キレる子ども】(再録)

+++++++++++++

夏場になると、キレる子どもが
多くなる。

暑いせいか?

しかしそれだけとは言えない。

以前書いた原稿を、手なおして
して、ここに掲載する。

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●暴れまわる子ども(キレる子ども)

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アメリカのBLOGサイトに、こんな
相談があった。

預かっている子どもについての相談だが、
暴れまわって、困るという内容のもの。

Bulletin Board for EDSPC 753より転載。

+++++++++++++++++++

We have had custody of my 6 year old stepson for 9 months now, and I am truly worn out
and need help ASAP. I went to the school today to pick him up for a doctor appointment
(for his behavior & yes he is on medications for this)and upon seeing me in the hallway he
became hysterical and ran in the oposite direction screaming. The principal and I caught up
with him and he began punching, kicking, slapping, biting, and pulling several handfulls of my
hair out of my head before the principal could restrain him. When he seemed calmed a bit i
tried to calmly let him know that I was just picking him up for his doctor's appointment, at
that point he kicked me in the face and continued to scream as loud as he could, disrupting
several classrooms. The principal tried to carry him out to my vehicle, but once in he began
kicking the daylights out of my car, he then got out and threw himself on the ground
screaming. Please tell me what in the world to do and how should this be handled if it should
occur at school again. The only facts we know about his life with his real mother is that she
admitted in court to having heavily used methamphetamines daily throughout the
pregnancy. I am not a teacher, but I fell terrible that the staff at his school had to go
through this. He had an episode eight weeks ago where he did the same thing to his teacher
that he did to me, I am in fear that his abuse will only escalate. He is scheduled for a psych
evaluation in Tacoma in 2 weeks, please give me advice for the mean time, we have 5 other
well behaved children in our home, how do I keep them safe?

6歳の子どもを預かるようになって、9か月になる。私は本当に疲れた。今日も、ドクターの診
察を受けるため、学校へ子どもを迎えに行った。

玄関で私を見るやいなや、子どもはヒステリックになり、反対方向へ走って逃げていった。校長
と2人で、追いついたものの、殴ったり、蹴ったり、ひっぱたいたり、髪の毛を引っぱったりし
た。少し落ち着いたところで、今日は、病院へ行くだけだと話して聞かせた。

そのときも、私の顔を蹴り、大声で泣き叫び、いくつかの教室の授業を混乱させてしまった。ど
うしたらよいのか、どうか、教えてほしい。また学校で同じようなことが起きたら、どうすればよ
いのか。8週間ほど前も同じようなことをしたとき、このままエスカレートしたら、どうしようかと悩
んだ。

彼は、タコマで、心理教育を受けることになっている。この間、どうすればよいのか、教えてほし
い。私のところには、ほかにも5人の子どもを預かっているが、みな、行儀がよい。

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ある教育者からの返事

++++++++++++++++++++

It sounds like you are dealing with an extremely difficult situation. So far the other
suggestions posted by Dina and Bear should be helpful. I have two more techniques that
may be helpful for your stepson. One technique that you might want to try is creating a
behavior contract with your stepson. First, you can figure out what behaviors you would like
to see him exhibit in school and at home. Some suggestions would be he needs to draw
when he is feeling angry or he needs to follow directions the first time that they are given.
Set a time frame for each time you or the teacher will be evaluating his behavior. Start
small to encourage his success with the technique. You might want to say, if you can do this
for 30 minutes you will receive a reward. And, keep track of whether or not he is exhibiting
this behavior every 30 minutes. You will talk to him about what kinds of rewards he is willing
to work for. If he loves to play with his toy trucks maybe you can use extra play time as a
reward or getting to watch a favorite movie. It is important to figure out what rewards
matter to him. You can find more information on using behavior contracting on this website.
Go to the main behavioradvisor.com screen and you will find the link for contracts.

たいへん困難な状況にあると思う。先にコメントを書いた、DさんやBさんの意見も、役に立つ
でしょう。で、私は、役にたつであろう2つの技術をもっている。

1つは、まず試してみるべきことは、その子どもとの、(行動契約)を結ぶこと。まず、学校や家
で、彼がどうあるべきかを、あなたがそれを具体的に頭の中で描いてみる。彼が怒っていると
きや、最初に指示に従う必要にあるとき、どうするかを決めるのもよい。それぞれのときに、時
間のワクをつくれば、先生が、子どもの行動を(客観的に)評価するだろう。

もし30分以内にできれば、ほうびを与えるなどとする。30分ごとに、その契約が守れるかどう
かを、観察する。またその子どもがどのようなほうびを求めているかを、子どもと話しあう。たと
えばおもちゃのトラックと遊びたいとか、好きな映画を見たいというのであれば、それらをほうび
とする。その子どもが何をしたがっているかを知ることが、重要。

このサイトで、(行動契約)についてのさらなる情報を、手に入れることができる。そちらを訪問
してみたらよい。

The second technique that you might want to try is having your stepson self monitor his
own behavior. You will start out when he is calm to identify a behavior that you would like to
encourage. Be confident in his ability to master this technique. It may sound unlike you, but
give him excessive amounts of your confidence that he can master this behavior. Many
children take their cues from the adults in their lives. Once you have figured out what
behavior you will be working on, create a sheet with smily faces and frowning faces. At
designated times, ask him to circle the smiling face if he is exhibiting this behavior or the
frowning face if he is not. This will build his own motivation to exhibit appropriate behaviors.
And, celebrate when he is improving!!! I know this can be difficult to do, as some of the
improvements will seem small in relation to the problems; however, it is good for you and
him to recognize when changes are occuring.
It seems like you are really commited to helping this child and he is lucky to have such a
stable adult in his life. Good luck with this situation.

Keely

2番目の技術は、子ども自身の行動について、自己監視させること。子どもがあなたから見
て、落ち着いていて、好ましい状態にあるときから、始める。この技術をマスターするための能
力が子どもにあると、自信をもつこと。

子どもが自分で自分を管理できると、あなたが、(今のあなたには、そうではなくても)、自身を
もっていることを、子どもに強く印象づける。多くの子どもたちは、彼らの生活において、おとな
たちから、その手がかりを得る。どんな様子が望ましいかがわかったら、(ニコニコマーク)と
(しかめっつらマーク)を描いたシートを用意する。

このことで、子どもに自覚を促す。そしてうまくいったときは、その子どもをほめたたえる。この
ことはむずかしいことは、わかっている。この問題に関しては、進歩は、少ないだろう。しかしあ
なたとその子どもにとって、変化が起きつつあることを気がつくためには、よい。その子どもに
とって、あなたのような安定したおとなをもっているということは、すばらしいことだ。

++++++++++++++++++

●子どもの過剰行動性について

 子どもの突発的な過剰行動性、いわゆるキレる子どもについては、いろいろな分野から考察
が繰りかえされている。

 大脳の微細障害説、環境ホルモン説、食生活説など。それらについて、数年前に書いた原
稿を、ここに添付する。

++++++++++++++++++

【子どもがキレるとき】

●ふえるキレる子ども

 2000年、全国の教育委員会から報告された校内での暴力行為は、前年度より11.4%
ふえて、34595件に達したことがわかった(文部科学省)。「対外的に問題の見られなかった
子どもが、突発的に暴力をふるうケースが目立つ」と指摘。同省・児童生徒課は、キレる子ども
への対応の必要性を強調した(中日新聞)。

 暴力行為が報告された学校の割合は、小学校が全体の2・2%だったが、中学校が35・
8%、高校が47・3%にのぼった。また学校外の暴力行為は、小中高校で、計5779件だっ
た。私が住む静岡県でも、前年度より210件ふえて、1132件だった。マスコミで騒がれること
は少なくなったが、この問題は、まだ未解決のままと考えてよい。

 こうしたキレる子どもの原因について、各方面からさまざまな角度から議論されている。教育
的な分野からの考察については言うまでもないが、それ以外の分野として、たとえば(1)精神
医学、(2)栄養学の分野がある。さらに最近では(3)環境ホルモンの分野からも問題が提起さ
れている。これは、内分泌かく乱化学物質(環境ホルモン)が、子どもの脳に影響を与え、それ
が子どもがキレる原因の一つになっているという説である。以下、これらの問題点について、
考えてみる。

(1)精神医学の分野からの考察

●躁状態における錯乱状態 

 キレる状態は、心理学の世界では、「躁(そう)状態における精神錯乱」と位置づけられてい
る。躁うつ病を定型化したのはクレペリン(ドイツの医学者・1856〜1926)だが、一般的には
躁状態とうつ状態はペアで考えられている。周期性をもって交互に、あるいはケースによって
は、重複して起こることが多いからである。それはそれとして、このキレた状態になると、子ども
は突発的に攻撃的になったり、大声でわめいたりする。

(これに対して若い人の間では、ただ単に、激怒した状態、あるいは怒りをコントロールでき
なくなった状態を、「キレる」と言うことが多い。ここでは区別して考える。)私にもこんな経験
がある。

●恐ろしく冷たい目

 子どもたち(小3児)を並べて、順に答案に丸をつけていたときのこと。それまでF君は、まっ
たく目立たないほど、静かだった。が、あと一人でF君というそのとき、F君が突然、暴れ出し
た。突然というより、激変に近いものだった。ギャーという声を出したかと思うと、周囲にあった
机とイスを足げりにしてひっくり返した。瞬間私は彼の目を見たが、その目は恐ろしいほど冷た
く、すごんでいた……。

●心の緊張状態が原因

 よく子どもの情緒が不安定になると、その不安定な状態そのものを問題にする人がいる。し
かしそれはあくまでも表面的な症状に過ぎない。情緒が不安定な子どもは、その根底に心の
緊張状態があるとみる。その緊張状態の中に不安が入りこむと、その不安を解消しようと、一
挙に緊張感が高まり、情緒が不安定になる。先のF君のばあいも、「問題が解けなかった」とい
う思いが、彼を緊張させた。そういう緊張状態のところに、「先生に何かを言われるのではない
か」という不安が入りこんで、一挙に情緒が不安定になった。

言いかえると、このタイプの子どもは、いつも心が緊張状態にある。気を抜かない。気を許さな
い。
周囲に気をつかうなど。表情にだまされてはいけない。柔和でおだやかな表情をしながら、そ
の裏
で心をゆがめる子どもは少なくない。

これを心理学の世界では、「遊離」という。「遊離現象」というときもある。心(情意)と表情がミス
マッ
チを起こした状態をいう。一度こういう状態になると、教える側からすると、「何を考えているか
わか
らない子ども」といった感じになる。

 その引き金となる原因はいくつかあるが、その第一に考えるのが、欲求不満である。欲求不
満が日常的に続くと、それがストレッサー(ストレスの原因)となり、心をふさぐ。その閉塞感が、
子どもの心を緊張させる。子どもの心について、こんな調査結果がある(98年・文部省調査)。

 「いらいら、むしゃくしゃすることがあるか」という質問に対して、小学6年生の18.6%が、
「日常的によくある」と答え、59.8%が、「ときどきある」と答えている。その理由としては、

(1)友だちとの人間関係がうまくいかないとき……51.8%
(2)人に叱られたとき……45.7%
(3)家族関係がうまくいかないとき……35.5%
(4)授業がわからないとき……34.1%
(5)意味もなくむしゃくしゃするときがある……18.5%

また「不安を感ずることがあるか」という質問に対しては、やはり小学六年生の7.8%が、「日
常的によくある」と答え、47.7%が、「ときどきある」と答えている。その理由としては、

(1)友だちとの関係がうまくいかないとき……51.0%
(2)授業がわからないとき……47.7%
(3)時間的なゆとりがないとき……29.3%
(4)落ち着ける居場所がないとき……22.4%
(5)進路、進学について……20.4%
 
 この調査結果から、現代の子どもたちは、およそ20人に一人が日常的に、いらいらしたり、
むしゃくしゃし、10人に一人が日常的にある種の不安を感じていることがわかる。

●子どもの欲求不満

 子どもの欲求不満については、その原因となるストレスの大小はもちろんのこと、それを受け
取る子ども側の、リセプターとしての問題もある。同じストレスを与えても、それをストレスと感じ
ない子どももいれば、それに敏感に反応する子どももいる。そんなわけで、子どものストレスを
考えるときは、対個人ではどうなのかというレベルで考える必要がある。それはさておき、子ど
もは自分の欲求が満たされないと、欲求不満になる。この欲求不満に対する反応は、ふつう、
次の三つに分けて考える。

(1)攻撃・暴力タイプ

 欲求不満やストレスが、日常的にたまると、子どもは攻撃的になる。心はいつも緊張状態あ
り、ささいなことでカッとなって、暴れたり叫んだりする。母親が、「ピアノのレッスンをしようね」と
話しかけただけで、包丁を投げつけた女の子(年長児)がいた。

私が「今日は元気?」と声をかけて、肩をたたいた瞬間、「このヘンタイ野郎!」と私を足げりに
した女の子(小5)もいた。こうした攻撃性は、表に出るタイプ(喧嘩する、暴力を振るう、暴言
を吐く)と、裏に隠れてするタイプ(弱い者をいじめる、動物を虐待する)に分けて考えることが
できる。

(2)退行・依存タイプ

 ぐずったり、赤ちゃんぽくなったりする(退行性)。あるいは誰かに依存しようとする(依存
性)。このタイプの子どもは、理由もなくグズグズしたり、甘えたりする。母親がそれを叱れば叱
るほど、症状が悪化するのが特徴で、そのため親が子どもをもてあますケースが多い。

(3)固執・執着タイプ

 ある特定の「物」にこだわったりする(固執性)。あるいはささいなことを気にして、悶々と悩ん
だりする(執着性)。ある男の子(年長児)は、毛布の切れ端をいつも大切に持ち歩いていた。
最近多く見られるのが、おとなになりたがらない子どもたち。赤ちゃんがえりならぬ、幼児がえ
りを起こす。ある男の子(小5)は、幼児期に読んでいたマンガの本をボロボロになっても、ま
だ大切そうにカバンの中に入れていた。そこで私が、「これは何?」と声をかけると、その子ど
もはこう言った。「どうチェ、読んでは、ダメだというんでチョ。読んでは、ダメだというんでチョ」
と。

 ものに依存するのは、心にたまった欲求不満をまぎらわすための代償行為と考えるとわかり
やすい。よく知られているのに、指しゃぶりや、爪かみ、髪いじりなどがある。別のところで指の
快感を覚えることで、自分の欲求不満を解消しようとする。

 キレる子どもは、このうち、(1)攻撃・暴力タイプということになるが、しかし同時に退行性や
依存性、さらには固着性や執着性をみせることが多い。 

●すなおな子ども論

 補足だが、従順で、おとなしい子どもを、すなおな子どもと考えている人は多い。しかしそれ
は誤解。教育、なかんずく幼児教育の世界では、心(情意)と表情が一致している子どもを、す
なおな子どもという。うれしいときにはうれしそうな表情をする。悲しいときには悲しそうな表情
をする。しかし心と表情が遊離すると、ここに書いたようにそれがチグハグになる。ブランコを
横取りされても、ニコニコ笑ってみせたり、いやなことがあっても、黙ってそれに従ったりするな
ど。

中に従順な子どもを、「よくできた子ども」と考える人もいるが、それも誤解。この時期、よく
できた子どもというのは、いない。つまり「いい子」ぶっているだけ。このタイプの子どもは大き
なストレスを心の中でため、そのためた分だけ、別のところで「心のひずみ」となって現われる。
よく知られた例として、家庭内暴力を起こす子どもがいる。このタイプの子どもは、外の世界で
は借りてきたネコのようにおとなしい。

●おだやかな生活を旨とする

 キレるタイプの子どもは、不安状態の中に子どもを追いこまないように、穏やかな生活を何よ
りも大切にする。乱暴な指導になじまない。あとは情緒が不安定な子どもに準じて、(1)濃厚な
スキンシップをふやし、(2)食生活の面で、子どもの心を落ち着かせる。カルシウム、マグネシ
ウム分の多い食生活にこころがけ、リン酸食品をひかえる。リン酸は、せっかく摂取したカルシ
ウムをリン酸カルシウムとして、体外へ排出してしまう。もちろんストレスの原因(ストレッサー)
があれば、それを除去し、心の負担を軽くすることも忘れてはならない。

●子どもの感情障害

 ほかに自閉症やかん黙児、さらには小児うつ病など、脳に機能的な障害をもつ子ども、さら
に近年問題になっている集中力欠如型多動性児(ADHD)は、感情のコントロールができない
ことがよく知られている。これらのタイプの子どもは、ささいなことがきっかけで、突発的に(1)
激怒する、(2)興奮、混乱状態になる、(3)暴言を吐いたり、暴力行為に及ぶ。攻撃的に外に
向って
暴力行為を及ぶタイプを、プラス型、内にこもり混乱状態になるのをマイナス型と私は分けてい
る。どちらにせよその行動は予想がつきにくく、たいていは子どもの「ギャーッ」という動物的な
叫び声でそれに気づくことが多い。こちらが「どうしたの?」と声をかけるときには、すでに手が
つけられない状態になっている。

(2)栄養学の分野からの考察

●過剰行動性のある子ども

 もう20年以上も前だが、アメリカで「過剰行動性のある子ども」(ヒュー・パワーズ・小児栄養
学)が、話題になったことがある。ささいなことがきっかけで、突発的に過剰な行動に出るタイプ
の子どもである。日本では、このタイプの子どもはほとんど話題にならなかったが、中学生によ
るナイフの殺傷事件が続いたとき、その原因の一つとして、マスコミでこの過剰行動性が取り
あげられたことがある(98年)。

日本でも岩手大学の大沢博名誉教授や大分大学の飯野節夫教授らが、この分野の研究者
として知られている。

●砂糖づけのH君(年中児)

 私の印象に残っている男児にH君(年中児)という子どもがいた。最初、Hさん(母親)は私に
こう相談してきた。「(息子の)部屋の中がクモの巣のようです。どうしたらいいでしょうか」と。話
を聞くと、息子のH君の部屋がごちゃごちゃというより、足の踏み場もないほど散乱していて、
その様子がふつうではないというのだ。が、それだけならまだしも、それを母親が注意すると、
H君は突発的に暴れたり、泣き叫んだりするという。始終、こきざみに動き回るという多動性も
気になると母親は言った。私の教室でも突発的に、耳をつんざくような金切り声をあげ、興奮
状態になることも珍しくなかった。そして一度そういう状態になると、手がつけられなくなった。
私はその異常な興奮性から、H君は過剰行動児と判断した。

 ただ申し添えるなら、教育の現場では、それが学校であろうが塾であろうが、子どもを診断し
たり、診断名をくだすことはありえない。第一に診断基準が確立していないし、治療や治療方
法を用意しないまま診断したり、診断名をくだしたりすることは許されない。

仮にその子どもが過剰行動児をわかったところで、それは教える側の内心の問題であり、親
から
質問されてもそれを口にすることは許されない。診断については、診断基準や治療方法、ある
いは
指導施設が確立しているケース(たとえば自閉症児やかん黙児)では、専門のドクターを紹介
する
ことはあっても、その段階で止める。この過剰行動児についてもそうで、内心では過剰行動児
を疑
っても、親に向かって、「あなたの子どもは過剰行動児です」と告げることは、実際にはありえな
い。教師としてすべきことは、知っていても知らぬフリをしながら、その次の段階の「指導」を開
始するこ
とである。
 
●原因は食生活?

 ヒュー・パワーズは、「脳内の血糖値の変動がはげしいと、神経機能が乱れ、情緒不安にな
り、ホルモン機能にも影響し、ひいては子どもの健康、学習、行動に障害があらわれる」とい
う。メカニズムは、こうだ。ゆっくりと血糖値があがる場合には、それに応じてインスリンが徐々
に分泌される。しかし一時的に多量の砂糖(特に精製された白砂糖)をとると、多量の、つまり
必要とされる量以上の量のインスリンが分泌され、結果として、子どもを低血糖児の状態にし
てしまうという(大沢)。そして(1)イライラする。機嫌がいいかと思うと、突然怒りだす、(2)無気
力、(3)疲れやすい、(4)(体が)震える、(5)頭痛など低血糖児特有の症状が出てくるという
(朝日新聞98年2・12)。これらの症状は、たとえば小児糖尿病で砂糖断ちをしている子ども
にも共通してみられる症状でもある。私も一度、ある子ども(小児糖尿病患者)を病院に見舞っ
たとき、看護婦からそういう報告を受けたことがある。

 こうした突発的な行動については、次のように説明されている。つまり脳からは常に相反する
二つの命令が出ている。行動命令と抑制命令である。たとえば手でものをつかむとき、「つか
め」という行動命令と、「つかむな」という抑制命令が同時に出る。この二つの命令がバランス
よく調和して、人間はスムーズな動きをすることができる。しかし低血糖になると、このうちの抑
制命令のほうが阻害され、動きがカミソリでスパスパとものを切るような動きになる。先のH君
の場合は、こまかい作業をさせると、震えるというよりは、手が勝手に小刻みに動いてしまい、
それができなかった。また抑制命令が阻害されると、感情のコントロールもできなくなり、一度
激怒すると、際限なく怒りが増幅される。そして結果として、それがキレる状態になる。

●恐ろしいカルシウム不足

 砂糖のとり過ぎは、子どもの心と体に深刻な影響を与えるが、それだけではない。砂糖をとり
過ぎると、カルシウム不足を引き起こす。

糖分の摂取が、体内のカルシウムを奪い、虫歯の原因になることはよく知られている。体内の
ブドウ糖は炭酸ガスと水に分解され、その炭酸ガスが、血液に酸性にする。その酸性化した血
液を中和しようと、骨の中のカルシウムが、溶け出るためと考えるとわかりやすい。体内のカ
ルシウムの98%は、骨に蓄積されている。そのカルシウムが不足すると、「(1)脳の発育が不
良になったり、(2)脳神経細胞の興奮性を亢進したり、(3)精神疲労をしやすくまた回復が遅く
なるなどの症状が現われる」(片瀬淡氏「カルシウムの医学」)という。わかりやすく言えば、カ
ルシウムが不足すると、知恵の発達が遅れ、興奮しやすく、また精神疲労を起こしやすいとい
うのだ。甘い食品を大量に摂取していると、このカルシウム不足を引き起こす。

●生化学者ミラー博士らの実験

 精製されてない白砂糖を、日常的に多量に摂取すると、インスリンの分泌が、脳間伝達物質
であるセロトニンの分泌をうながし、それが子どもの異常行動を引き起こすという。アメリカの
生化学者のミラーは、次のように説召している。

 「脳内のセロトニンという(脳間伝達)ニューロンから脳細胞に情報を伝達するという、神経中
枢に重要な役割をはたしているが、セロトニンが多すぎると、逆に毒性をもつ」(「マザーリン
グ」81年7号)と。日本でも、自閉症や子どもの暴力、無気力などさまざまな子どもによる問題
行動が、食物と関係しているという研究がなされている。ちなみに、食品に含まれている白
砂糖の量は、次のようになっている。

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ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー        
 ヨーグルト    【森永乳業】     90ml  9・6g         
 伊達巻き       【紀文】     39g  11・8g         
 ミートボール   【石井食品】 1パック120g  9・0g         
 いちごジャム   【雪印食品】  大さじ30g  19・7g         
 オレンジエード【キリンビール】    250ml  9・2g         
 コカコーラ              250ml 24・1g         
 ショートケーキ    【市販】  一個100g  28・6g         
 アイス      【雪印乳業】  一個170ml  7・2g         
 オレンジムース  【カルピス】     38g   8・7g         
 プリン      【協同乳業】  一個100g  14・2g         
 グリコキャラメル【江崎グリコ】   4粒20g   8・1g         
 どら焼き       【市販】   一個70g  25g          
 クリームソーダ    【外食】  一杯      26g           
 ホットケーキ     【外食】  一個      27g          
 フルーツヨーグルト【協同乳業】    100g  10・9g         
 みかんの缶詰   【雪印食品】    118g  15・3g         
 お好み焼き   【永谷園食品】  一箱240g  15・0g         
 セルシーチョコ 【江崎グリコ】   3粒14g   5・5g         
 練りようかん     【市販】  一切れ56g  30・8g         
 チョコパフェ     【市販】  一杯      24・0g       

●砂糖は白い麻薬

 H君の母親はこう言った。「祖母(父親の実母)の趣味が、ジャムづくりで、毎週ビンに入った
ジャムを届けてくれます。うちでは、それを食べなければもったいないということで、パンや紅茶
など、あらゆるものにつけて食べています」と。私はH君の食生活が、かなりゆがんだものと知
り、とりあえず「砂糖断ち」をするよう進言した。が、異変はその直後から起きた。幼稚園から帰
ったH君が、冷蔵庫を足げりにしながら、「ビスケットがほしい、ビスケットがほしい」と泣き叫ん
だというのだ。母親は「麻薬患者の禁断症状のようで、恐ろしかった」と話してくれた。が、それ
から数日後。今度はH君が一転、無気力状態になってしまったという。私がH君に会ったのは、
ちょうど一週間後のことだったが、H君はまるで別人のようになっていた。ボーッとして、反応が
まるでなかった。母親はそういうH君を横目で見ながら、「もう一度、ジャムを食べさせましょう
か」と言ったが、私はそれに反対した。

●カルシウムは紳士をつくる

 戦前までは、カルシウムは、精神安定剤として使われていた。こういう事実もあって、イギリス
では、「カルシウムは紳士をつくる」と言われている。子どもの落ち着きなさをどこかで感じた
ら、砂糖断ちをする一方、カルシウムやマグネシウムなど、ミネラル分の多い食生活にこころ
がける。私の経験では、幼児の場合、それだけで、しかも一週間という短期間で、ほとんどの
子どもが見違えるほど落ち着くのがわかっている。川島四郎氏(桜美林大学元教授)も、「ヒス
テリーやノイローゼ患者の場合、カルシウムを投与するだけでなおる」(「マザーリング」81年7
号)と述べている。効果がなくても、ダメもと。そうでなくても、缶ジュース一本を子どもに買い与
えて、「うちの子は小食で困ります」は、ない。体重15キロ前後の子どもに、缶ジュースを一本
与えるということは、体重60キロの人が、4本飲む量に等しい。おとなでも缶ジュースを4本は
飲めないし、飲めば飲んだで、腹の中がガボガボになってしまう。

 なお問題となるのは、精製された白砂糖をいう。どうしても甘味料ということであれば、精製さ
れていない黒砂糖をすすめる。黒砂糖には、天然のミネラル分がほどよく配合されていて、こ
こでいう弊害はない。
 
●多動児(ADHD児)との違い

 この過剰行動性のある子どもと症状が似ている子どもに。多動児と呼ばれる子どもがいる。
前もって注意しなければならないのは、多動児(集中力欠如型多動性児、ADHD児)の診断基
準は、2001年の春、厚生労働省の研究班が国立精神神経センター上林靖子氏ら委託し
て、そのひな型が作成されたばかりで、いまだこの日本では、多動児の診断基準はないという
のが正しい。つまり正確には、この日本には多動児という子どもは存在しないということにな
る。一般に多動児というときは、落ち着きなく動き回るという多動性のある子どもをいうことにな
る。そういう意味では、活発型の自閉症児なども多動児ということになるが、ここでは区別して
考える。

 ちなみに厚生労働省がまとめた診断基準(親と教師向けの「子どもの行動チェックリスト」)
は、次のようになっている。

(チェック項目)
1行動が幼い
2注意が続かない
3落ち着きがない
4混乱する
5考えにふける
6衝動的
7神経質
8体がひきつる
9成績が悪い
10不器用
11一点をみつめる

たいへんまたはよくあてはまる……2点、
ややまたは時々あてはまる……1点、
当てはまらない……0点として、
男子で4〜15歳児のばあい、
12点以上は障害があることを意味する「臨床域」、
9〜11点が「境界域」、
8点以下なら「正常」

この診断基準で一番気になるところは、「抑え」について触れられていない点である。多動児が
多動児なのは、抑え、つまり指導による制止がきかない点である。教師による抑えがきけば、
多動児は多動児でないということになる。一方、過剰行動児は行動が突発的に過剰になるとい
うだけで、抑えがきく。その抑えがきくという点で、多動児と区別される。また活発型の自閉症
児について言えば、多動性はあくまでも随伴的な症状であって、主症状ではないという点で、こ
の多動児とは区別される。またチェック項目の中の(1)行動が幼い(退行性)は、過保護児、
溺愛児にも共通して見られる症状であり、(7)神経質は、敏感児、過敏児にも共通して見られ
る症状である。さらに(9)成績が悪い、および(10)不器用については、多動児の症状というよ
りは、それから派生する随伴症状であって、多動児の症状とするには、常識的に考えてもおか
しい。

ついでに私は私の経験から、次のような診断基準をつくってみた。

(チェック項目)
1抑えがきかない
2言動に秩序感がない
3他人に無遠慮、無頓着
4雑然とした騒々しさがある
5注意力が散漫
6行動が突発的で衝動的
7視線が定まらない
8情報の吸収性がない
9鋭いひらめきと愚鈍性の同居
10論理的な思考ができない 
11思考力が弱い

 このADHD児については、脳の機能障害説が有力で、そのために指導にも限界がある……
という前提で、それぞれの市町村レベルの教育委員会が対処している。たとえば静岡県のK
市では、指導補助員を配置して、ADHD児の指導に当っている。ただしこの場合でも、あくまで
も「現場教師を補助する」(K市)という名目で配置されている。

(3)環境ホルモンの分野からの考察

●シシリー宣言

1995年11月、イタリアのシシリー島のエリゼに集まった一八名の学者が、緊急宣言を
行った。これがシシリー宣言である。その内容は「衝撃的なもの」(グリーンピース・JAPAN)な
ものであった。

いわく、「これら(環境の中に日常的に存在する)化学物質による影響は、生殖系だけではな
く、行動的、および身体的異常、さらには精神にも及ぶ。これは、知的能力および社会的適応
性の低下、環境の要求に対する反応性の障害となってあらわれる可能性がある」と。

つまり環境ホルモンが、人間の行動にまで影響を与えるというのだ。が、これで驚いて
いてはいけない。シシリー宣言は、さらにこう続ける。「環境ホルモンは、脳の発達を阻害す
る。神経行動に異常を起こす。衝動的な暴力・自殺を引き起こす。奇妙な行動を引き起こす。
多動症を引き起こす。IQが低下する。人類は50年間の間に5ポイントIQが低下した。人類の
生殖能力と脳が侵されたら滅ぶしかない」と。ここでいう「社会性適応性の低下」というのは、具
体的には、「不登校やいじめ、校内暴力、非行、犯罪のことをさす」(「シシリー宣言」・グリーン
ピース・JAPAN)のだそうだ。

 この事実を裏づけるかのように、マウスによる実験だが、ビスワエノールAのように、環境ホ
ルモンの中には、母親の胎盤、さらに胎児の脳関門という二重の防御を突破して、胎児の脳
に侵入するものもあるという。つまりこれらの環境ホルモンが、「脳そのものの発達を損傷す
る」(船瀬俊介氏「環境ドラッグ」より)という。

(4)教育の分野からの考察

 前後が逆になったが、当然、教育の分野からも「キルる子ども」の考察がなされている。しか
しながら教育の分野では、キレる子どもの定義すらなされていない。なされないままキレる子ど
もの議論だけが先行している。ただその原因としては、(1)親の過剰期待、そしてそれに呼応
する子どもの過負担。(2)学歴社会、そしてそれに呼応する受験競争から生まれる子ども側
の過負担などが、考えられる。こうした過負担がストレッサーとなって、子どもの心を圧迫する。
ただこの段階で問題になるのが、子ども側の耐性である。最近の子どもは、飽食とぜいたくの

で、この耐性を急速に喪失しつつあると言える。わずかな負担だけで、それを過負担と感じ、
そしてそれに耐えることがないまま、怒りを爆発させてしまう。親の期待にせよ、学歴社会にせ
よ、それは子どもを取り巻く環境の中では、ある程度は容認されるべきものであり、こうした
環境を子どもの世界から完全に取り除くことはできない。これらを整理すると、次のようにな
る。

(1)環境の問題
(2)子どもの耐性の問題。

 この二つについて、次に考える。

●環境の問題
●子どもの耐性の問題

終わりに……

以上のように、「キレる子ども」と言っても、その内容や原因はさまざまであり、その分野に応じ
て考える必要がある。またこうした考察をしてのみ、キレる子どもの問題を正面からとらえるこ
とができる。一番危険なのは、キレる子どもを、ただばくぜんと、もっと言えば感傷的にとらえ、
それを論ずることである。こうした問題のとらえ方は、問題の本質を見誤るばかりか、かえって
教育現場を混乱させることになりかねない。
(はやし浩司 キレる子ども 過剰行動性 突発的に暴れる子供 暴れる子ども)















【特集・キレる子ども】(2)(よりわかりやすくした原稿です)

●キレる子ども 

++++++++++++++++++

キレる子どもについては、たびたび、
取りあげてきた。

その「キレる」という行為だが、通常の
「激怒」とは、いくつかの点で、異なる。

++++++++++++++++++

 子どもでも怒る。激怒することはある。しかし「キレる」という行為とは、明確に、区別される。
「キレる」という行為には、つぎのような特徴がある。

(1)突発的に錯乱状態になる。
(2)暴力行為に、見境がなくなる。
(3)脳の抑制命令が、欠落する。
(4)瞬間、別人のような鋭い目つきになる。
(5)キレる理由そのものが、明確ではない。

 順に考えてみる。

(1)突発的に錯乱状態になる。

 キレる子どもの特徴は、突発的に錯乱状態になること。その少し前から、ピリピリとした緊張
状態がつづくことがあるが、暴れ出すときは、突発的である。瞬間、人格の変化を感じたと思っ
たとたん、「コノヤロー」と金切り声をあげて、相手に飛びかかっていったりする。

(2)暴力行為に、見境がなくなる。

 キレる子どものする暴力には、見境がない。ふつうの暴力には、(手かげん)というものがあ
る。しかしキレる子どものする暴力には、その(手かげん)がない。全力をこめて、相手を殴っ
たり、蹴ったりする。

(3)脳の抑制命令が、欠落する。

 言動が、まるでカミソリでものをスパスパと切ったようになる。動きが直線的になり、なめらか
さが消える。脳の抑制命令が欠落したような状態になる。当然、言葉もはげしいものになる。

(4)瞬間、別人のような鋭い目つきになる。

 その瞬間、子どもの顔を観察すると、顔色は青ざめ、目つきが別人のように鋭く、冷めたもの
になっているのがわかる。憎しみや怒りを表現しながら相手に殴りかかるというよりは、無表情
のまま。ときに、そのあまりにもすごんだ顔を見て、ゾッとすることさえある。

(5)キレる理由そのものが、明確ではない。

 キレるとき、その理由が、よくわからない。A君(小3男児)は、順番を待って並んでいるとき、
突然、キレて暴れ出した。近くにあった机や椅子を、ギャーッという叫び声とともに、手当たり次
第、足で蹴って倒した。

 B子さん(小5女児)は、私が「こんにちは」と声をかけて肩をたたいたその瞬間、突然、キレ
た。私に向かって、「このヘンタイ野郎!」と言って、私の腹に足蹴りを入れてきた。ものすごい
足蹴りである。私は、その場で、息もできなくなり、しばらくうずくまってしまった。

 C君(小4男児)は、問題を解いているとき、私がそれを手助けしてやろうと声をかけたとた
ん、キレた。「テメエ、ウッセー!」と叫んで、そばにあったワークブックで、私の頭を、つづけざ
まに、狂ったように叩きつづけた。

 こういうケースのばあい、私ができることと言えば、男児のばあいは、抱きかかえ、子どもを
抑えることでしかない。しかし相手が女児のばあいだと、それもできない。両手でまるく、自分
の頭をおおうことでしかない。子どもの世界では、おとなの私のほうが、やり返すなどというの
は、タブー。(当然だが……。)

 こうした子どもを観察してみると、先にも書いたように、脳の抑制命令そのものが、欠落した
ような状態になっていることがわかる。脳の機能そのものが、異常に亢進し、狂ったような状態
になる。

 原因のほとんどは、慢性的なストレス、日常的な緊張感、抑圧感の蓄積と考えてよい。それ
が脳間伝達物質の過剰分泌を促し、瞬間的に脳の機能が異常に亢進するためと考えられる。

 さらにその原因はといえば、脳の微細障害説などもあるが、家庭環境も、大きく作用している
ことは否定できない。

 子どもがこういう症状を示したら、親は、家庭環境を猛省しなければならない。が、こういう子
どもにかぎって、親の前では、むしろ静かでいい子ぶっていることが多い。つまりそのはけ口
を、弱い人や、やさしい人に向ける。

 だからたいていのばあい、私がそれを指摘しても、親は、その深刻さを理解しようとする前
に、子どもを叱ったり、さらに子どもを抑えつけようとしたりする。これがますます症状をこじら
せる。あとは、この悪循環。最後は、行き着くところまで行く。それまで気がつかない。

 対処法としては、過剰行動児に準ずる。

++++++++++++++++++++++++

●キレる子どもの原因?

 キレる子ども……、つまり突発的に過剰行動に出る子どもの原因として、最近にわかにクロ
ーズアップされてきたのが、「セロトニン悪玉説」である。

つまり脳間伝達物質であるセロトニンが異常に分泌され、それが毒性をもって、脳の抑制命令
を狂わすという(生化学者、ミラー博士ほか)。

アメリカでは、もう20年以上も前から指摘されていることだが、もう少し具体的に言うとこうだ。
たとえば白砂糖を多く含む甘い食品を、一時的に過剰に摂取すると、インスリンが多量に分泌
され、それがセロトニンの過剰分泌を促す。そしてそれがキレる原因となるという(岩手大学の
大澤名誉教授ほか)。

 このタイプの子どもは、独特の動き方をするのがわかっている。ちょうどカミソリの刃でスパス
パとものを切るように、動きが鋭くなる。なめらかな動作が消える。そしていったん怒りだすと、
カッとなり、見境なく暴れたり、ものを投げつけたりする。ギャーッと金切り声を出すことも珍しく
ない。幼児でいうと、突発的にキーキー声を出して、泣いたり、暴れたりする。興奮したとき、体
を小刻みに震わせることもある。

 そこでもしこういう症状が見られたら、まず食生活を改善してみる。甘い食品を控え、カルシ
ウム分やマグネシウム分の多い食生活に心がける。リン酸食品も控える。リン酸は日もちをよ
くしたり、鮮度を保つために多くの食品に使われている。

リン酸をとると、せっかく摂取したカルシウムをリン酸カルシウムとして、体外へ排出してしま
う。一方、昔からイギリスでは、『カルシウムは紳士をつくる』という。日本でも戦前までは、カル
シウムは精神安定剤として使われていた。それはともかくも、子どもから静かな落ち着きが消
えたら、まずこのカルシウム不足を疑ってみる。ふつう子どものばあい、カルシウムが不足して
くると、筋肉の緊張感が持続できず、座っていても体をクニャクニャとくねらせたり、ダラダラさ
せたりする。

 ここに書いたのはあくまでも1つの説だが、もしあなたの子どもに以上のような症状が見られ
たら、一度試してみる価値はある。効果がなくても、ダメもと。そうでなくても子どもに缶ジュース
を1本与えておいて、「少食で悩んでいます」は、ない。

体重15キロの子どもに缶ジュースを1本与えるということは、体重60キロのおとなが、同じ缶
ジュースを4本飲むのに等しい。おとなでも4本は飲めないし、飲めば飲んだで、腹の中がガボ
ガボになってしまう。もしどうしても「甘い食べもの」ということであれば、精製されていない黒砂
糖を勧める。黒砂糖には天然のミネラル分がバランスよく配合されているため、ここでいうよう
な弊害は起きない。ついでに一言。

 子どもはキャーキャーと声を張りあげるもの、うるさいものだと思っている人は多い。しかしそ
ういう考えは、南オーストラリア州の幼稚園を訪れてみると変わる。そこでは子どもたちがウソ
のように静かだ。サワサワとした風の音すら聞こえてくる。理由はすぐわかった。

その地方ではどこの幼稚園にも、玄関先に大きなミルクタンクが置いてあり、子どもたちは水
代わりに牛乳を飲んでいた。


Hiroshi Hayashi+++++++++Dec 06+++++++++++はやし浩司

【補足】

++++++++++++

キレる子どもについて、
私の経験から……

++++++++++++

 突発的に、きわめて衝動的に暴力を振るう子どもというのは、たしかにいる。私は、大きく、
つぎの3つのタイプに分けて考えている。

(1)ピリピリ型(いつも神経がピリピリしているタイプ、頭のキレる子どもに多い)
(2)むっつり型(何を考えているかわからないタイプ。ふだんは静かで、穏やか)
(3)ゲーム型(目的もわからないまま、ゲーム感覚で、とんでもないことをする。)

 ピリピリ型というのは、ふだんから、神経が過敏状態になっていて、静かな落ち着きが見られ
ないタイプをいう。頭の回転が速く、その分、学習面で、優秀な成績を示す。ささいなことで、突
発的に衝動的な行動に出る。

【Kさん(小6女児)】

 私が、いつもKさんが座る席でお茶を飲んでいたときのこと。休み時間でのことである。突
然、Kさんがうしろからやってきて、笑い声で、「やあ、先生!」と声をかけてきた。私が、「ああ」
と答えたその瞬間、もっていたバッグで、思いっきり、頭を側面から叩いてきた。

 メガネはふっとび、私は、イスからころげ落ちた。

【Tさん(小5女児)】

 私が別の子ども(小5女児)と、何かのことでふざけて冗談を言いあっていたときのこと。Tさ
んが、私に何かを話しかけてきた。無視したわけではないのだが、そのまま別の子を、笑いあ
っていた、そのとき。もっていた大型のワークブックで、私の頭を上からバシッと叩いてきた。衝
撃で、メガネは下に落ち、鼻の横を1センチほど、切った。

 むっつり型というのは、ふだんは、何を考えているかわからないタイプの子どもをいう。印象
に残っている子どもに、R子(小6)がいた。4年前に書いた原稿だが、それをそのまま紹介す
る。

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●不自然さは要注意

 子どもの動作や、言動で、どこか不自然さを感じたら、要注意。反応や歩き方、さらにはしぐ
さなど。「ふつう、子どもなら、こうするだろうな」と思うとき、子どもによっては、そうでない反応
を示すことがある。最近、経験した例をいくつかあげてみる。

【S子の例】

教室へ入ってくるやいなや、突然大声で、「先生、先週、ここにシャープペンシルは落ちていま
せんでしたか!」と。「気がつかなかった」と答えると、大げさなジェスチャでその女の子(小5)
は、あたりをさがし始めた。

しばらくすると、「先生、今日は、筆箱を忘れました」と。そこで私が、「忘れたら忘れたで、最初
からそう言えばいいのに」とたしなめると、さらに大きな声で、「そんなことはありません!」と。
そして授業中も、どうも納得できないというような様子で、ときおり、あたりをさがすマネをしてみ
せる。私が「もういいから、忘れなさい」と言うと、「いえ、たしかにここに置きました!」と。

【A君の例】

A君(小3男児)が、連絡ノートを忘れた。そこでまだ教室に残っていたB君(小三男児)にそれ
を渡して、「まだA君はそのあたりにいるはずだから、急いでもっていってあげて!」と叫んだ。

が、B君はおもむろに腰をあげ、のんびりと自分のものを片づけたあと、ノソノソと歩き出した。
それではまにあわない。そこで私が「いいから、走って!」と促すと、こちらをうらめしそうな顔を
して見るのみ。そしてゆっくりと教室の外に消えた。

【R子の例】

R子(小6)が教室に入ってきたので、いつものように肩をポンとたたいて、「こんにちは」と言っ
たときのこと。何を思ったからR子は、いきなり私の腹に足蹴りをしてきた。「この、ヘンタイ野
郎!」と。ふつうの蹴りではない。R子は空手道場に通っていた。私はしばらく息もできない状
態で、その場にうずくまってしまった。そのときR子の顔を見ると、ぞっとするような冷たい目を
していた。

こうした「ふつうでない様子」を見たら、それを手がかりに、子どもの心の問題をさぐってみる。
何かあるはずである。が、このとき大切なことは、そうした症状だけをみて、子どもを叱ったり、
注意してはいけないということ。何か原因があるはずである。だからそれをさぐる。

たとえばシャープペンシルをさがした女の子は、異常とも言えるような親の過関心で心をゆが
めていた。B君は、いわゆる緩慢行動を示した。精神そのものが萎縮している子どもによく見ら
れる症状である。また私を足蹴りにした女の子は、そのころ両親は離婚、母親には、愛人と再
婚話をしている最中だった、など。

 一方、心がまっすぐ伸びている子どもは、行動や言動が自然である。「すなお」という言い方
のほうがふさわしい。こちらの予想どおりに反応し、そして行動する。心を開いているから、や
さしくしてあげたり、親切にしてあげると、そのやさしさや親切が、スーッと子どもの心にしみて
いくのがわかる。そしてうれしそうにニコニコと笑ったりする。

「おいで」と手を広げてあげると、そのままこちらの胸に飛び込んでくる。そこであなたの子ども
を観察してみてほしい。何人か子どもが集まっているようなところで観察するとわかりやすい。
もしあなたの子どもの行動や言動が自然であればよい。しかしどこか不自然であれば、あなた
の子育てのし方そのものを反省してみる。子どもではない。あなた自身の、だ。
(02−10−20)

++++++++++++++++

 この中に書いたR子については、そのとき受けた暴力がふつうではなかったため、とくに印象
に残っている。へたをすれば内臓が破裂していたかもしれない。それほど強烈な蹴りであっ
た。

 このR子については、そのあと母親とゆっくり話す機会があったので、そのことを報告すると、
母親はこう言った。

 当時R子の両親は離婚を前提とした別居状態であった。父親には愛人がいて、家に帰らない
日も多かったという。母親は「それが原因ではないでしょうか」と言った。

 もう1人印象に残っている子どもに、T君(小3・男児)がいた。

 ある日、子どもたちの解いた問題を順に採点しているときのこと。あと1、2人でT君というとき
になったそのとき、突然、T君が、「ギャーッ」と動物的な声を張りあげて、暴れ出した。

 あまりにも突発的で、制止する間はなかった。近くにあった机をもちあげると、それを、となり
の机に向かって投げた。私はT君にとびかかって、T君を床に押し倒し、上から自分の体重で、
T君を押さえた。

 あとで見たら、T君の解答用紙は、ほとんど白紙だった。

 また3番目のゲーム型についても、印象に残っている子どもに、F君(小4・男児)がいた。つ
ぎの原稿に出てくる、(2)の、(バランス感覚に欠け、善悪の判断ができない子ども)というの
が、その子どもである。

 この原稿は、「乱暴な子ども」というテーマで書いたもので、話が少し脱線するかもしれない
が、許してほしい。

+++++++++++++++++

●乱暴な子ども

乱暴な子どもといっても、一様ではない。いろいろなタイプがある。かなりおおざっぱな分け方
で、正確ではないが、思いついたままあげてみると……。

(1)家庭不和など、愛情問題が原因で荒れる子ども……いわゆる欲求不満型で、乱暴のし方
が、陰湿で、相手に対して容赦しないのが特徴。先生に叱られても、口をきっと結んだまま、涙
を見せないなど。どこかに心のゆがみを感ずることが多い。自ら乱暴をしながら、相手の心を
確かめるようなこともする。ふつう嫉妬がからむと、乱暴のし方が、陰湿かつ長期化する。

(2)バランス感覚に欠け、善悪の判断ができない子ども……このタイプの子どもは、ときとし
て、常識をはずれた乱暴をする。たとえば先生のコップに、殺虫剤を入れたり、イスの上に、シ
ャープペンシルを立てたりする、など。(知らないで座ったら、おおけがをする。)相手の子ども
がイスに座ろうとしたとき、さっとイスを引き、相手の子どもにおおけがをさせた子どももいた。
してよいことと、悪いことの判断ができないために、そうなる。もともと遅進傾向がある子ども
に、よく見られる。

(3)小心タイプの子ども……よく観察すると、乱暴される前に、自ら乱暴するという傾向がみら
れる。しかったりすると、おおげさに泣いたり、あやまったりする。ひとりでは乱暴できず、だれ
かの尻馬に乗って、乱暴する。乱暴することを、楽しんでいるような雰囲気になる。どこか小ず
るい感じがするのが特徴。

(4)情緒不安定型の子ども……突発的に、大声を出し、我を忘れて乱暴する。まさにキレる状
態になる。すごんだ目つき、鋭い目つきになるのが特徴。一度興奮状態になると、手がつから
れなくなる。ふだんは、どちらかというと、おとなしく、目立たない。

このタイプの子どもは、その直前に、異様な興奮状態になることが多い。直前といっても、ほん
の瞬間的で、おさえるとしても、そのときしかない。心の緊張感がとれないため、ふだんからど
こかピリピリとした印象を与えることが多い。

(5)乱暴であることが、日常化している子ども……日ごろから、キックやパンチをしながら、遊
んでいる。あいさつがわりに乱暴したりする。そのためほかの子どもには、こわがられ、嫌われ
る。

 乱暴な子どもについて考えてみたが、たいていは複合的に現れるため、どのタイプの子ども
であるかを特定するのはむずかしい。また特定してもあまり意味はない。そのときどきに、「乱
暴は悪いこと」「乱暴してはいけない」ことを、子どもによく言って聞かせるしかない。力でおさえ
ようとしても、たいてい失敗する。とくに突発的に錯乱(さくらん)状態になって暴れる子どものば
あいは、しかっても意味はない。私のばあいは、相手が年少であれば、抱き込むようにしてそ
れをおさえる。しばらくその状態を保つと、やがて静かになる。

【S君、小2のケース】

 ささいなことでキレやすく、一度キレると、手や足のほうが、先に出てくるというタイプ。能力的
には、とくに問題はないが、どこかかたよっている感じはする。算数は得意だが、漢字がまった
く書けない、など。

 そのS君は、学校でも、何かにつけて問題を起こした。突発的に暴れて、イスを友だちに投げ
つけたこともある。あるいはキックをして、友だちの前歯を折ってしまったこともある。ときに自
虐的に、机をひどくたたいて、自分で手にけがをすることもあった。私も何度か、S君がキレる
様子を見たことがあるが、目つきが異常にすごむのがわかった。無表情になり、顔つきそのも
のが変わった。

 そういうS君を、乳幼児のときから、母親は、ひどくしかった。しばしば体罰を加えることもあっ
たという。しかしそのため、しかられることに免疫性ができてしまい、先生がふつうにしかったく
らいでは効果がなかった。そこで先生がさらに語気を荒げて、強くしかると、そのときだけは、
それなりにしおらしく、「ごめん」と言ったりした。

 今、S君のように、原因や理由がわからないまま、突発的に錯乱状態になって暴れる子ども
がふえている。脳の微細障害が原因だとする研究者もいる。「まだ生まれる前に、母親から胎
盤をとおして、胎児の体の中に侵入した微量の化学物質が脳の発達に変化をもたらし、その
人の生涯の性格や行動を決めてしまうのではないか」(福島章氏「子どもの脳が危ない」PHP
新書)と。

じゅうぶん考えなければならない説である。

++++++++++++++++++++

 さらに私も、一度、こんな経験をしている。記録によれば、03年とあるから、もうそれから3年
になる。しかしそのとき受けたキズは、今でも、目の上に、しっかりと残っている。私は、あやうく
失明するところだった。

 そのとき書いた原稿をそのまま紹介する。

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●メガネ

 このところ朝起きると、どこかモノがかすんで見える。白内障か?、と思ったが、原因は、メガ
ネの汚れだった。もうこのメガネも、買って10年になる。硬質ガラスでできているというが、表
面は、すり傷だらけ。そろそろ買い替えの時期がきたようだ。

 私がメガネをかけるようになったのは、中学1、2年のころではなかったか。周囲にメガネを
かけている人が多く、私のばあい、メガネをかけるのに、それほど抵抗はなかった。以来、40
年以上、メガネをかけている。

 メガネを嫌う人も多いが、もしメガネをかけていなければ、私は、3度、失明していただろうと
思う。1度は、山の中へタラの芽を取りに入ったときのこと。バシッとタラの木が、私のメガネを
たたいた。タラの芽を取ろうと、木を引き寄せたときのことだった。あとで見ると、メガネの上と
下に、大きな切り傷ができていた。

 もう1度は、バイクで運転していたときのこと。S湖のまわりを猛スピードで走っていたら、これ
またバシッと、メガネに何か当たった。見ると、コガネ虫だった。コガネ虫がメガネに当たり、メ
ガネの上で飛び散っていた。

 さらにもう1度は、こんな事件だった。中学2年生のM君と対峙して、数学を教えていたときの
こと。私が目を閉じたまま、うつらうつらと、M君の話を聞いていた。そのときだ。何を考えた
か、M君が、シャープペンシルを、私の顔と机の間に立てた。私はそれを知らず、そのまま頭
を下へ振った。とたん激痛!

 シャープペンシルの先はメガネのおかげで目をそれ、眉間の下に突き刺さった。とたん、大
量の鮮血が顔面に飛び散った。もしそのときメガネをかけていなければ、シャープペンシルの
先は、まともの眼球に突き刺さっていた。そういう位置関係にあった。

 だからメガネに、私は3度、目を守られたことになる。いろいろ不便はあるが、これからもずっ
とかけつづけるつもり。

 そのメガネについての余談だが、私は、いわゆるメガネ族だから、どういうわけか、メガネを
かけている人に親しみを覚える。女性でも、メガネをかけている人のほうに魅力を感ずる。これ
はどういう心理によるものかわからないが、本当の話。

 もう一つ余談だが、あのシャープペンシルをつき立てたM君は、いわゆるお宅族と呼ばれる
子どもで、幼いときからテレビゲームばかりしていた。そのためか、ものの考え方が、どこか現
実離れしていた。恐らくシャープペンシルをつき立てたときも、ゲーム感覚ではなかったか? 
このタイプの子どもは、何かにつけて常識ハズレになりやすい。
(030216)※

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 キレるといっても、内容はさまざま。それに応じて、原因もいろいろ考えられる。で、私のばあ
い、こうした例が、あまりにも多いため、「子どもというのは、そういうもの」という前提で、対処し
ている。

 さらにここに書いた、(ピリピリ型の子ども)にしても、親に報告しても、ほとんど意味がない。
親(とくに母親自身)も、ピリピリした感じの人が多い。私の頭を側面からバッグでたたいてきた
Kさん(小6・女児)にしても、一度、母親にそのことを報告しなければと思いつつ、結局は、そ
の機会がないまま終わってしまった。

 母親に話したら、今度はその母親がキレて、娘のKさんに暴力を振るっていたかもしれない。

 以下、参考までに、今まで書いた原稿のうち、いくつかをここに収録しておく。

Hiroshi Hayashi+++++++++++はやし浩司

【かんしゃく発作】

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私のHPの掲示板の相談コーナーに、つぎのような相談がありました。
かんしゃく発作が、あまりにもはげしいので、どうしたらよいかというご質問です。
今回は、これについて、考えてみたいと思います。

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生後2週間の頃から、15時間連続で起きていたこともあるほど、まとめて寝ない子(寝る環境
作りはいろいろと工夫しましたが無理でした)で、起きている時間は抱っこして歩きまわらない
と、グズってばかりの娘でした。

寝る子は育つと言うのに、こんなに寝なくて大丈夫なものかと病院に行ったほどでしたが、至っ
て健康で、人なつっこく男の子顔負けのやんちゃ娘に成長していきました。

好奇心旺盛で、喜怒哀楽がとてもハッキリしていて(嬉しいと興奮しすぎるほど喜ぶし、怒ると
手がつけられないほど泣き暴れます)、活発なので、やんちゃすぎて手はかかりますが、幼い
頃おとなしかった私にしてみたら、すごく張り合いがあって自慢の娘です。

でもやっぱり神経質というか、頑固すぎるところがあり、2歳になってどう扱ったらいいか分から
なくなることが増えました。魔の2歳児というほど、2歳は周りの子もみんな反抗期+何でも自
分で!、という時期なので、ある程度は仕方ないと腹をくくって毎日気長に接していました。

赤ちゃんの頃から手がかかる子だったので、今でも私にベッタリなこともあり、スキンシップは
たっぷり取れているつもりでいるのですが・・・。はやしさんのエッセイで、「わがまま」と「頑固」
の違いなどについて書かれていたを読んで、うちの娘は頑固すぎるのかなぁと思い、相談させ
ていただこうと思いました。

2歳になってから、とにかく何でも自分でしないと気が済みません。着替えも、ちょっと手を出す
と気が狂ったように泣き叫んで、怒って服が破れそうなほど引っ張って全部脱いでしまいます。

もともと好奇心旺盛な子なので、1歳のころから自分でできることなら、何分でもつき合ってあ
げて、危険なことでない限り何にでも挑戦させてあげてきました。でもまだ2歳だからどうがん
ばっても無理なこともいっぱいあります・・・。

三輪車も、何としても自分で運転する!っていう気迫で、購入して1週間で自分でこげるように
なり、私が後ろの押し手を押すと、「イヤ!」と言って横断歩道の真ん中でも足を踏ん張って動
かなくなってしまいます。

また、夫に似て、正義感が強く変に真面目なところがあり、公園などでは順番や物の貸し借り
のルールをすごく理解しています。なので順番を守れない子がいたり、自分はおもちゃを「どう
ぞ」と貸してあげられたのに、相手が貸してくれないようなことが何度も重なると、手がつけられ
ないほど暴れて30分以上泣き止んでくれなくなります。

以上に書いたようなことは、2歳児ならみんなあることだとは思うのですが、かんしゃくを起こし
たときの激しさが、ほんとにすごいんです。

今日はおもちゃの貸し借りがうまくできないことが続いて(相手の子が何が何でも自分のおもち
ゃは貸さない!と言ってすぐ泣く子でした)、お友だちも娘もお昼寝の時間になり眠たそうで機
嫌が悪かったので、お片づけして今日は「バイバイ」しようと言った後、気が狂ったように泣き出
しました。

「バイバイ嫌!!」と言って、すごい勢いで走り出して、道路に何度も飛びだそうとするから、阻
止して、落ち着かせようと抱きしめてあげたら余計に泣き叫びました。すごく激しく暴れるので
何度も道路や壁に頭を打って大変でした。

パニックになると「ぎゃーー!!」と泣き叫びながら私から離れて、走って行ってしまいます。室
内など、少々走り回っても大丈夫な場所なら、ある程度落ち着くまで暴れさせてあげて、落ち着
き始めた頃にギューっと抱きしめてあげると少しずつ私に寄り添ってくれて、笑顔を見せてくれ
るます。

が、走り回れない野外だと、私が触れるたびにさらに火がついたように泣き叫んで、いつまで
たっても落ち着いてくれず、親子ともどもどろんこになりながら、1時間近く格闘しなきゃいけな
いことになります。あまりに激しいので、街行く人たちも白い目で見るというのを通り越して、ど
こか病気?にでもなったのかというぐらい怖い物を見るように心配されたりします。

1歳代の頃から、気に入らないことがあるとしょっちゅう道路に寝転がってダダをこねる子だっ
たので、それぐらいのことで人目が気になったりはしないのですが、ここまで激しいと私まで泣
きたくなります。

「どうぞ」ができたことをいくら誉めてあげても、相手が泣いていたりすると自分が悪いと思って
しまい、何度も何度もそういうことが重なると爆発するみたいです。気は強いので、自分が今遊
びたいものを我慢して貸してあげたりすることはなく、今遊んでないものをきっちり選んで貸して
あげます。なので我慢が爆発するという感じでもないです。

こんなに激しく泣き続けても、泣き止んだら何事もなかったように、いつもの太陽みたいな笑顔
を見せてくれます。私にギューっと抱きついて、「お母さん、大好き〜」と言ってくれます。「イヤ
イヤ!」は思いっきり発散させた子の方が後々いい子になるって聞くので、反抗期が激しいの
はいいことなのかもしれませんが、こんな娘の性格を伸び伸びと伸ばしてあげるにはどう接し
ていけばいいのでしょうか?

うまく文章に表せたか分かりませんが、アドバイスいただけたらとても嬉しいです。よろしくお願
いします。

++++++++++++++++++++++++++++++

【YK様へ】

 かんしゃく発作にしては、かなりはげしいようですね。2歳前後であれば、ダダをこねる、がん
こになる、泣き叫ぶ程度で、しばらくすると、静かになるはずですが……。

 私の印象では、脳内で、何らかの仰天現象が起きているように思います。突発的な興奮性
と、その持続性が気になります。こういうケースで最近、よく話題になるのが、セロトニン悪玉説
です。

 脳内伝達物質にセロトニンがあり、それが過剰に分泌されると、子どもは、興奮状態になり、
過剰行動に出ることが知られれています(アメリカのミラー博士ほか)。

 その過剰分泌を引き起こすのが、たとえば、インシュリンの過剰分泌と言われています。つま
りたとえば一時的に、甘味の強い食品(精製された白砂糖の多い食品)を多量に接種すると、
インシュリンが、ドッと、分泌されます。

 血糖値はそれでさがるのですが、そのあともインシュリンが血中に残り、さらに血糖をさげま
す。こうしていわば、子どもが、低血糖の状態になるわけです。


++++++++++++++++++++++++++はやし浩司

子どもの脳が乱舞するとき

●収拾がつかなくなる子ども

 「先生は、サダコかな? それともサカナ! サカナは臭い。それにコワイ、コワイ……、あ
あ、水だ、水。冷たいぞ。おいしい焼肉だ。鉛筆で刺して、焼いて食べる……」と、話がポンポ
ンと飛ぶ。頭の回転だけは、やたらと速い。

まるで頭の中で、イメージが乱舞しているかのよう。動作も一貫性がない。騒々しい。ひょうき
ん。鉛筆を口にくわえて歩き回ったかと思うと、突然神妙な顔をして、直立! そしてそのまま
の姿勢で、バタリと倒れる。ゲラゲラと大声で笑う。その間に感情も激しく変化する。目が回る
なんていうものではない。まともに接していると、こちらの頭のほうがヘンになる。

 多動性はあるものの、強く制止すれば、一応の「抑え」はきく。小学2、3年になると、症状が
急速に収まってくる。集中力もないわけではない。気が向くと、黙々と作業をする。30年前には
このタイプの子どもは、まだ少なかった。が、ここ10年、急速にふえた。

小1児で、10人に2人はいる。今、学級崩壊が問題になっているが、実際このタイプの子ども
が、1クラスに数人もいると、それだけで学級運営は難しくなる。あちらを抑えればこちらが騒
ぐ。こちらを抑えればあちらが騒ぐ。そんな感じになる。

●崩壊する学級

 「学級指導の困難に直面した経験があるか」との質問に対して、「よくあった」「あった」と答え
た先生が、66%もいる(98年、大阪教育大学秋葉英則氏調査)。

「指導の疲れから、病欠、休職している同僚がいるか」という質問については、15%が、「1名
以上いる」と回答している。そして「授業が始まっても、すぐにノートや教科書を出さない」子ども
については、90%以上の先生が、経験している。

ほかに「弱いものをいじめる」(75%)、「友だちをたたく」(66%)などの友だちへの攻撃、「授
業中、立ち歩く」(66%)、「配布物を破ったり捨てたりする」(52%)などの授業そのものに対
する反発もみられるという(同、調査)。

●「荒れ」から「新しい荒れ」へ
 昔は「荒れ」というと、中学生や高校生の不良生徒たちの攻撃的な行動をいったが、それが
最近では、低年齢化すると同時に、様子が変わってきた。「新しい荒れ」とい言葉を使う人もい
る。ごくふつうの、それまで何ともなかった子どもが、突然、キレ、攻撃行為に出るなど。多くの
教師はこうした子どもたちの変化にとまどい、「子どもがわからなくなった」とこぼす。

日教組が98年に調査したところによると、「子どもたちが理解しにくい。常識や価値観の差を
感ずる」というのが、20%近くもあり、以下、「家庭環境や社会の変化により指導が難しい」(1
4%)、「子どもたちが自己中心的、耐性がない、自制できない」(10%)と続く。そしてその結果
として、「教職でのストレスを非常に感ずる先生が、8%、「かなり感ずる」「やや感ずる」という
先生が、60%(同調査)もいるそうだ。

●原因の一つはイメージ文化?

 こうした学級が崩壊する原因の一つとして、(あくまでも、一つだが……)、私はテレビやゲー
ムをあげる。「荒れる」というだけでは、どうも説明がつかない。家庭にしても、昔のような崩壊
家庭は少なくなった。むしろここにあげたように、ごくふつうの、そこそこに恵まれた家庭の子ど
もが、意味もなく突発的に騒いだり暴れたりする。

そして同じような現象が、日本だけではなく、アメリカでも起きている。実際、このタイプの子ど
もを調べてみると、ほぼ例外なく、乳幼児期に、ごく日常的にテレビやゲームづけになっていた
のがわかる。

ある母親はこう言った。「テレビを見ているときだけ、静かでした」と。「ゲームをしているとき
は、話しかけても返事もしませんでした」と言った母親もいた。たとえば最近のアニメは、幼児
向けにせよ、動きが速い。速すぎる。しかもその間に、ひっきりなしにコマーシャルが入る。ゲ
ームもそうだ。動きが速い。速すぎる。

●ゲームは右脳ばかり刺激する

こうした刺激を日常的に与えて、子どもの脳が影響を受けないはずがない。もう少しわかりや
すく言えば、子どもはイメージの世界ばかりが刺激され、静かにものを考えられなくなる。

その証拠(?)に、このタイプの子どもは、ゆっくりとした調子の紙芝居などを、静かに聞くこと
ができない。浦島太郎の紙芝居をしてみせても、「カメの顔に花が咲いている!」とか、「竜宮
城に魚が、おしっこをしている」などと、そのつど勝手なことをしゃべる。一見、発想はおもしろ
いが、直感的で論理性がない。

ちなみにイメージや創造力をつかさどるのは、右脳。分析や論理をつかさどるのは、左脳であ
る(R・W・スペリー)。テレビやゲームは、その右脳ばかりを刺激する。こうした今まで人間が経
験したことがない新しい刺激が、子どもの脳に大きな影響を与えていることはじゅうぶん考えら
れる。その一つが、ここにあげた「脳が乱舞する子ども」ということになる。

 学級崩壊についていろいろ言われているが、一つの仮説として、私はイメージ文化の悪弊を
あげる。

(付記)

●ふえる学級崩壊

 学級崩壊については減るどころか、近年、ふえる傾向にある。99年1月になされた日教組と
全日本教職員組合の教育研究全国大会では、学級崩壊の深刻な実情が数多く報告されてい
る。

「変ぼうする子どもたちを前に、神経をすり減らす教師たちの生々しい告白は、北海道や東北
など各地から寄せられ、学級崩壊が大都市だけの問題ではないことが浮き彫りにされた」(中
日新聞)と。「もはや教師が一人で抱え込めないほどすそ野は広がっている」とも。

 北海道のある地方都市で、小学1年生70名について調査したところ、
 授業中おしゃべりをして教師の話が聞けない……19人
 教師の指示を行動に移せない       ……17人
 何も言わず教室の外に出て行く       ……9人、など(同大会)。

●心を病む教師たち

 こうした現状の中で、心を病む教師も少なくない。東京都の調べによると、東京都に在籍する
約6万人の教職員のうち、新規に病気休職した人は、93年度から4年間は毎年210人から2
20人程度で推移していたが、97年度は、261人。さらに98年度は355人にふえていること
がわかった(東京都教育委員会調べ・99年)。

この病気休職者のうち、精神系疾患者は。93年度から増加傾向にあることがわかり、96年
度に一時減ったものの、97年度は急増し、135人になったという。

この数字は全休職者の約52%にあたる。(全国データでは、97年度は休職者が4171人で、
精神系疾患者は、1619人。)さらにその精神系疾患者の内訳を調べてみると、うつ病、うつ
状態が約半数をしめていたという。原因としては、「同僚や生徒、その保護者などの対人関係
のストレスによるものが大きい」(東京都教育委員会)ということである。

●その対策

 現在全国の21自治体では、学級崩壊が問題化している小学1年クラスについて、クラスを1
クラス30人程度まで少人数化したり、担任以外にも補助教員を置くなどの対策をとっている
(共同通信社まとめ)。

また小学6年で、教科担任制を試行する自治体もある。

具体的には、小学1、2年について、新潟県と秋田県がいずれも1クラスを30人に、香川県で
は40人いるクラスを、2人担任制にし、今後5年間でこの上限を36人まで引きさげる予定だと
いう。

福島、群馬、静岡、島根の各県などでは、小1でクラスが30〜36人のばあいでも、もう1人教
員を配置している。さらに山口県は、「中学への円滑な接続を図る」として、一部の小学校で
は、6年に、国語、算数、理科、社会の4教科に、教科担任制を試験的に導入している。大分
県では、中学1年と3年の英語の授業を、1クラス20人程度で実施している(01年度調べ)。

(はやし浩司 家庭教育 育児 育児評論 教育評論 幼児教育 子育て はやし浩司 キレ
る子供 キレる子供 突発的に暴れる子供 暴れる子ども 子供の暴力 暴力行為 衝動的 
衝動性)


Hiroshi Hayashi+++++++++Sep 06+++++++++++はやし浩司

●キレる子どもの相談

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数年前、キレる子どもについて、
ある母親から、こんな相談が届いて
いる。

そのとき書いた原稿をそのまま
ここに紹介する。

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●小食で困ったら、冷蔵庫をカラに

 体重15キロの子どもが、缶ジュースを1本飲むということは、体重60キロのおとなが、四本
飲む量に等しい。いくらおとなでも、缶ジュースを4本は飲めない。飲めば飲んだで、腹の中が
ガボガボになってしまう。アイスやソフトクリームもそうだ。子どもの顔よりも大きなソフトクリー
ムを1個子どもに食べさせておきながら、「うちの子は小食で困っています」は、ない。

 突発的にキーキー声をはりあげて、興奮状態になる子どもは少なくない。このタイプの子ども
でまず疑ってみるべきは、低血糖。

一度に甘い食品(精製された白砂糖の多い食品)を大量に与えると、その血糖値をさげようと
インスリンが大量に分泌される。が、血糖値がさがっても、さらに血中に残ったインスリンが、
必要以上に血糖値をさげてしまう。

つまりこれが甘い食品を大量にとることによる低血糖のメカニズムだが、一度こういう状態にな
ると、脳の抑制命令が変調をきたす。そしてここに書いたように、突発的に興奮状態になって
大声をあげたり、暴れたりする。

このタイプの子どもは、興奮してくるとなめらかな動きがなくなり、カミソリでものを切るように、
スパスパした動きになることが知られている。アメリカで「過剰行動児」として、20年ほど前に
話題になったことがある。

日本でもこの分野の研究者は多い(岩手大学名誉教授の大澤氏ほか)。そこでもしあなたの
子どもにそういう症状が見られたら、一度砂糖断ちをしてみるとよい。効果がなくて、ダメもと。
一周間も続けると、子どものによってはウソのように静かに落ち着く。

  話がそれたが、子どもの小食で悩んでいる親は多い。「食が細い」「好き嫌いがはげしい」
「食事がのろい」など。幼稚園児についていうなら、全体の約50%が、この問題で悩んでいる。
で、もしそうなら、一度冷蔵庫をカラにしてみる。お菓子やスナック菓子類は、思いきって捨て
る。「もったいない」という思いが、つぎからのムダ買いを止める力になる。そして子どもが食事
の間に口にできるものを一掃する。子どもの小食で悩んでいる親というのは、たいてい無意識
のうちにも、間食を黙認しているケースが多い。もしそうなら、間食はいっさい、やめる。

(小食児へのアドバイス)

(1)ここに書いたように、冷蔵庫をカラにし、菓子類はすべて避ける。
(2)甘い食品(精製された白砂糖の多い食品)を断つ。
(3)カルシウム、マグネシウム分の多い食生活にこころがける。
(4)日中、汗をかかせるようにする。

 ただ小食といっても、家庭によって基準がちがうので、その基準も考えること。ふつうの家庭
よりも多い食物を与えながら、「少ない」と悩んでいるケースもある。子どもが健康なら、小食
(?)でも問題はないとみる。

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以前、同じような相談を受けたことがあります。
もっと年齢の大きなお子さんについてのものでしたが……。
それについて、書いた原稿を添付します。
あくまでも参考資料の一つとして、考えてください。

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●島根県のUYさんより

はじめまして。
HPをよく拝見させて頂いています。
 
娘の事を相談させていただきたく、メールをしています。
娘は5歳半になる年中児で、下に3歳半の妹がいます。

小さい頃から動作の一つ一つが乱暴で、よくグズリ、キーキー興奮しては些細な事で泣く子でし
た。

それは今でも続いており、集中が長く続かず、こだわりも他の子供よりも深い気がします。
話も目を見て心を落ち着けてゆっくり会話をする事が出来ません。

真剣な話をしながら足の先を神経質に動かしたり、手を振ったりして、とても聞いている態度に
は見えません。

走りまわるほどの多動ではありませんが、落ち着いて、じっとしていることが出来ないようです。

そのせいか、話し言葉も五歳にしては表現力がないと思われます。
物の説明はとても難解で、結局何を言っているのか分からない事も多々あります。
 
私自身、過関心であったと思います。
気をつけているつもりですが、やはり完全には治っていません。
今、言葉の方は『おかあさん、牛乳!』や、『あの冷たいやつ!』というような言い方について
は、それでは分からないという事を伝える様にしています。

できるだけ言葉で説明をさせるようにしています。これは少しは効果があるようです。
また食生活ではカルシウムとマグネシウム、そして甘いものには気をつけています。
食べ物の好き嫌いは全くありません。
 
そこで私の相談ですが、もっとしっかり人の話を聞けるようになってほしいと思っています。

心を落ち着かせることが出来るようになるのは、やはり親の過干渉や過関心と関係があるの
でしょうか。

また些細な事(お茶を飲むときのグラスの柄が妹の方がかわいい柄っだった、公園から帰りた
くない等)で、泣き叫んだりするのは情緒不安定ということで、過干渉の結果なのでしょうか。

泣き叫ぶときは、『そーかー、嫌だったのね。』と、私は一応話を聞くようにはしていますが、私
が折れる事はありません。

その事でかえって、泣き叫ぶ機会を増やして、また長引かせている気もするのですが。。。

そしてテーブルの上でオセロなどのゲーム中に、意味も無く飛び上がったりしてテーブルをゆら
してゲームを台無しにしたりする(無意識にやってしまうようです)ような乱雑な動作はどのよう
にすれば良いのか、深く悩んでいます。『静かに落ち着いて、意識を集中させて動く』ことが出
来ないのはやはり干渉のしすぎだったのでしょうか。
自分自信がんばっているつもりですが、時々更に悪化させているのではないかと不安に成りま
す。

できましたら,アドバイスをいただけますでしょうか。宜しくお願い致します。

【UYさんへ、はやし浩司より】

 メール、ありがとうございました。原因と対処法をいろいろ考える前に、大前提として、「今す
ぐ、なおそう」と思っても、なおらないということです。またなおそうと思う必要もありません。こう
書くと、「エエッ!」と思われるかもしれませんが、この問題だけは、子どもにその自覚がない以
上、なおるはずもないのです。

 UYさんのお子さんが、ここに書いた子どもと同じというわけではありませんが、つぎの原稿
は、少し前に私が書いたものです。まず、その原稿を先に、読んでいただけたらと思います。

+++++++++++++++++
 
●汝(なんじ)自身を知れ

「汝自身を知れ」と言ったのはキロン(スパルタ・7賢人の1人)だが、自分を知ることは難しい。
こんなことがあった。

 小学生のころ、かなり問題児だった子ども(中2男児)がいた。どこがどう問題児だったかは、
ここに書けない。書けないが、その子どもにある日、それとなくこう聞いてみた。

「君は、学校の先生たちにかなりめんどうをかけたようだが、それを覚えているか」と。するとそ
の子どもは、こう言った。「ぼくは何も悪くなかった。先生は何でもぼくを目のかたきにして、ぼく
を怒った」と。私はその子どもを前にして、しばらく考えこんでしまった。いや、その子どものこと
ではない。自分のことというか、自分を知ることの難しさを思い知らされたからだ。

ある日1人の母親が私のところにきて、こう言った。「学校の先生が、席決めのとき、『好きな子
どうし、並んですわってよい』と言った。しかしうちの子(小1男児)のように、友だちのいない子
はどうしたらいいのか。配慮に欠ける発言だ。これから学校へ抗議に行くから、一緒に行って
ほしい」と。

もちろん私は断ったが、問題は席決めことではない。その子どもにはチックもあったし、軽いが
吃音(どもり)もあった。神経質な家庭環境が原因だが、「なぜ友だちがいないか」ということの
ほうこそ、問題ではないのか。その親がすべきことは、抗議ではなく、その相談だ。

話はそれたが、自分であって自分である部分はともかくも、問題は自分であって自分でない部
分だ。ほとんどの人は、その自分であって自分でない部分に気がつくことがないまま、それに
振り回される。よい例が育児拒否であり、虐待だ。

このタイプの親たちは、なぜそういうことをするかということに迷いを抱きながらも、もっと大きな
「裏の力」に操られてしまう。あるいは心のどこかで「してはいけない」と思いつつ、それにブレ
ーキをかけることができない。「自分であって自分でない部分」のことを、「心のゆがみ」という
が、そのゆがみに動かされてしまう。ひがむ、いじける、ひねくれる、すねる、すさむ、つっぱ
る、ふてくされる、こもる、ぐずるなど。自分の中にこうしたゆがみを感じたら、それは自分であ
って自分でない部分とみてよい。

それに気づくことが、自分を知る第一歩である。まずいのは、そういう自分に気づくことなく、い
つまでも自分でない自分に振り回されることである。そしていつも同じ失敗を繰り返すことであ
る。

+++++++++++++++

 おとなですら、自分のことを知るのはむずかしい。いわんや、子どもをやということになりま
す。ですからUYさんが、お子さんに向かって、「静かにしなさい」「落ち着きなさい」と言っても、
子どもにその自覚がない以上、子どもの立場からしたら、どうしようもないのです。

 意識には、大きく分けて(1)潜在意識と、(2)自意識(自己意識)があります※。潜在意識と
いうのは、意識できない世界のことです。自意識というのは、自分で自覚できる意識のことで
す。いろいろな説がありますが、教育的には、小学3、4年生を境に、急速にこの自意識が育
ってきます。つまり自分を客観的に見ることができるようになると同時に、その自分を、自分で
コントロールすることができるようになるわけです。

 幼児期にいろいろな問題ある子どもでも、この自意識をうまく利用すると、それを子ども自ら
の意識で、なおすことができます。言いかえると、それ以前の子どもには、その自意識を期待
しても、無理です。たとえば「静かにしなさい」と親がいくら言っても、子ども自身は、自分ではそ
れがわからないのだから、どうしようもありません。UYさんのケースを順に考えてみましょう。

●小さい頃から動作の一つ一つが乱暴で、よくグズリ、キーキー興奮しては些細な事で泣く子
でした。
●それは今でも続いており、集中が長く続かず、こだわりも他の子供よりも深い気がします。
●話も目を見て心を落ち着けてゆっくり会話をする事が出来ません。
●真剣な話をしながら足の先を神経質に動かしたり、手を振ったりして、とても聞いている態度
には見えません。
●走りまわるほどの多動ではありませんが、落ち着いて、じっとしていることが出来ないようで
す。
●そのせいか、話し言葉も5歳にしては表現力がないと思われます。

 これらの問題点を指摘しても、当然のことですが、満5歳の子どもに、理解できるはずもあり
ません。こういうケースで。「キーキー興奮してはだめ」「こだわっては、だめ」「落ち着いて会話
しなさい」「じっとしていなさい」「しっかりと言葉を話しなさい」と言ったところで、ムダというもので
す。

たとえば細かい多動性について、最近では、脳の微細障害説、機能障害説、右脳乱舞説、ホ
ルモン変調説、脳の仰天説、セロトニン過剰分泌説など、ざっと思い浮かんだものだけでも、
いろいろあります。

されにさらに環境的な要因、たとえば下の子が生まれたことによる、赤ちゃんがえり、欲求不
満、かんしゃく発作などもからんでいるかもしれません。またUYさんのメールによると、かなり
神経質な子育てが日常化していたようで、それによる過干渉、過関心、心配先行型の子育て
なども影響しているかもしれません。こうして考え出したら、それこそ数かぎりなく、話が出てき
てしまいます。

 では、どうするか? 原因はどうであれ、今の症状がどうであれ、今の段階では、「なおそう」
とか、「あれが問題」「これが問題」と考えるのではなく、あくまでも幼児期によく見られる一過性
の問題ととらえ、あまり深刻にならないようにしたらよいと思います。

むしろ問題は、そのことではなく、この時期、親が子どものある部分の問題を、拡大視すること
によって、子どものほかのよい面をつぶしてしまうことです。とくに「あれがダメ」「これがダメ」と
いう指導が日常化しますと、子どもは、自信をなくしてしまいます。生きザマそのものが、マイナ
ス型になることもあります。

 私も幼児を35年もみてきました。若いころは、こうした問題のある子どもを、何とかなおして
やろうと、四苦八苦したものです。しかしそうして苦労したところで、意味はないのですね。子ど
もというのは、時期がくれば、何ごともなかったかのように、自然になおっていく。

UYさんのお子さんについても、お子さんの自意識が育ってくる、小学3、4年生を境に、症状は
急速に収まってくるものと思われます。自分で判断して、自分の言動をコントロールするように
なるからです。「こういうことをすれば、みんなに嫌われる」「みんなに迷惑をかける」、あるいは
「もっとかっこよくしたい」「みんなに認められたい」と。

 ですから、ここはあせらず、言うべきことは言いながらも、今の状態を今以上悪くしないことだ
けを考えながら、その時期を待たれたらどうでしょうか。すでにUYさんは、UYさんができること
を、すべてなさっておられます。母親としては、満点です。どうか自信をもってください。私のHP
を読んでくださったということだけでも、UYさんは、すばらしい母親です。(保証します!)

ただもう一つ注意してみたらよいと思うのは、たとえばテレビやテレビゲームに夢中になってい
るようなら、少し遠ざけたほうがよいと思います。このメールの終わりに、私が最近書いた原稿
(中日新聞発表済み)を、張りつけておきます。どうか参考にしてください。

 で、今度はUYさん自身へのアドバイスですが、どうか自分を責めないでください。「過関心で
はないか?」「過干渉ではないか?」と。

 そういうふうに悩むこと自体、すでにUYさんは、過関心ママでも、過干渉ママでもありませ
ん。この問題だけは、それに気づくだけで、すでにほとんど解決したとみます。ほとんどの人
は、それに気づかないまま、むしろ「私はふつうだ」と思い込んで、一方で、過関心や過干渉を
繰りかえします。UYさんにあえていうなら、子育てに疲れて、やや育児ノイローゼ気味なのかも
しれません。ご主人の協力は得られませんか? 少し子育てを分担してもらったほうがよいか
もしれません。

 最後に「そしてテーブルの上でオセロなどのゲーム中に、意味も無く飛び上がったりしてテー
ブルをゆらしてゲームを台無しにしたりする(無意識にやってしまうようです)ような乱雑な動作
はどのようにすれば良いのか、深く悩んでいます。『静かに落ち着いて、意識を集中させて動
く』ことが出来ないのはやはり干渉のしすぎだったのでしょうか」という部分についてですが、こ
う考えてみてください。

 私の経験では、症状的には、小学1年生ぐらいをピークにして、そのあと急速に収まっていき
ます。そういう点では、これから先、体力がつき、行動半径も広くなってきますから、見た目に
は、症状ははげしくなるかもしれません。UYさんが悩まれるお気持ちはよくわかりますが、一
方で、UYさんの力ではどうにもならない部分の問題であることも事実です。

ですから、愛情の糸だけは切らないようにして、言うべきことは言い、あとはあきらめます。コツ
は、完ぺきな子どもを求めないこと。満点の子どもを求めないこと。ここで愛情の糸を切らない
というのは、子どもの側から見て、「切られた」と思わせいないことです。

それを感じると、今度は、子どもの心そのものが、ゆがんでしまいます。が、それでも暴れたら
……。私のばあいは、教室の生徒がそういう症状を見せたら、抱き込んでしまいます。叱った
り、威圧感を与えたり、あるいは恐怖心を与えてはいけません。あくまでも愛情を基本に指導し
ます。それだけを忘れなければ、あとは何をしてもよいのです。あまり神経質にならず、気楽に
構えてください。

 約束します。UYさんの問題は、お子さんが小学3、4年生になるころには、消えています。ウ
ソだと思うなら、このメールをコピーして、アルバムか何かにはさんでおいてください。そして、
四、五年後に読み返してみてください。「林の言うとおりだった」と、そのときわかってくださると
確信しています。もっとも、それまでの間に、いろいろあるでしょうが、そこは、クレヨンしんちゃ
んの母親(みさえさん)の心意気でがんばってください。コミックにVOL1〜10くらいを一度、読
まれるといいですよ。テレビのアニメは、コミックにくらべると、作為的です。

 また何かあればメールをください。なおこのメールは、小生のマガジンの2−25号に掲載し
ますが、どうかお許しください。転載の許可など、お願いします。ご都合の悪い点があれば、至
急、お知らせください。
(030217)

※……これに対して、「自己意識」「感覚運動的意識」「生物的意識」の三つに分けて考える考
え方もある。「感覚的運動意識」というのは、見たり聞いたりする意識のこと。「生物的意識」と
いうのは、生物としての意識をいう。いわゆる「気を失う」というのは、生物的意識がなくなった
状態をいう。このうち自己意識があるのは、人間だけと言われている。この自己意識は、四歳
くらいから芽生え始め、三〇歳くらいで完成するといわれている(静岡大学・郷式徹助教授「フ
ァミリス」03・3月号)。

++++++++++++++++++++++++++はやし浩司

【YK様へ(2)】

 食生活がどうなっているのか、私にはわかりませんが、まず試してみるべきことは、(1)食生
活の改善、です。

 ここにも書いたように、MG、CA、Kの多い食生活(自然海産物中心の献立)に切りかえてみ
てください。

 精製された白砂糖を多く含む食品は、避けます。(与えると意識しなくても、今では、ありとあ
らゆる食品に含まれています。幼児のばあい、2歳児でしたら、1日、10グラム前後でじゅうぶ
んです。)

 感情の起伏がはげしく、手にあまるようなら、一度、小児科を訪れてみられてはいかがでしょ
うか。以前とちがい、最近では、すぐれた薬も開発されています。(薬を使うときは、慎重にしま
すが、そのあたりのことは、よくドクターと相談して決めてください。)

 食生活の改善……徹底してするのが、コツです。アイス、ソフト、乳酸飲料などは、避けま
す。徹底してすれば、1、2週間ほどで、効果が現われてきます。

 同じようなケースを、もう一つ、思い出しました。その原稿を添付します。少し古い原稿なの
で、先に書いたことと、内容が少し異なるかもしれませんが、異なっている部分については、先
に書いたほうを、優先してください。

++++++++++++++++++++++++++はやし浩司

【栄養学の分野からの考察】

●過剰行動性のある子ども

 もう二〇年以上も前だが、アメリカで「過剰行動性のある子ども」(ヒュー・パワーズ・小児栄養
学)が、話題になったことがある。ささいなことがきっかけで、突発的に過剰な行動に出るタイプ
の子どもである。

日本では、このタイプの子どもはほとんど話題にならなかったが、中学生によるナイフの殺傷
事件が続いたとき、その原因の一つとして、マスコミでこの過剰行動性が取りあげられたこと
がある(九八年)。日本でも岩手大学の大沢博名誉教授や大分大学の飯野節夫教授らが、こ
の分野の研究者として知られている。

●砂糖づけのH君(年中児)

 私の印象に残っている男児にH君(年中児)という子どもがいた。最初、Hさん(母親)は私に
こう相談してきた。「(息子の)部屋の中がクモの巣のようです。どうしたらいいでしょうか」と。

話を聞くと、息子のH君の部屋がごちゃごちゃというより、足の踏み場もないほど散乱してい
て、その様子がふつうではないというのだ。が、それだけならまだしも、それを母親が注意する
と、H君は突発的に暴れたり、泣き叫んだりするという。始終、こきざみに動き回るという多動
性も気になると母親は言った。私の教室でも突発的に、耳をつんざくような金切り声をあげ、興
奮状態になることも珍しくなかった。そして一度そういう状態になると、手がつけられなくなっ
た。私はその異常な興奮性から、H君は過剰行動児と判断した。

 ただ申し添えるなら、教育の現場では、それが学校であろうが塾であろうが、子どもを診断し
たり、診断名をくだすことはありえない。第一に診断基準が確立していないし、治療や治療方
法を用意しないまま診断したり、診断名をくだしたりすることは許されない。仮にその子どもが
過剰行動児をわかったところで、それは教える側の内心の問題であり、親から質問されてもそ
れを口にすることは許されない。

診断については、診断基準や治療方法、あるいは指導施設が確立しているケース(たとえば
自閉症児やかん黙児)では、専門のドクターを紹介することはあっても、その段階で止める。こ
の過剰行動児についてもそうで、内心では過剰行動児を疑っても、親に向かって、「あなたの
子どもは過剰行動児です」と告げることは、実際にはありえない。教師としてすべきことは、知
っていても知らぬフリをしながら、その次の段階の「指導」を開始することである。
 
●原因は食生活?

ヒュー・パワーズは、「脳内の血糖値の変動がはげしいと、神経機能が乱れ、情緒不安にな
り、ホルモン機能にも影響し、ひいては子どもの健康、学習、行動に障害があらわれる」とい
う。メカニズムは、こうだ。ゆっくりと血糖値があがる場合には、それに応じてインスリンが徐々
に分泌される。しかし一時的に多量の砂糖(特に精製された白砂糖)をとると、多量の、つまり
必要とされる量以上の量のインスリンが分泌され、結果として、子どもを低血糖児の状態にし
てしまうという(大沢)。

そして(1)イライラする。機嫌がいいかと思うと、突然怒りだす、(2)無気力、(3)疲れやすい、
(4)(体が)震える、(5)頭痛など低血糖児特有の症状が出てくるという(朝日新聞九八年2・1
2)。これらの症状は、たとえば小児糖尿病で砂糖断ちをしている子どもにも共通してみられる
症状でもある。私も一度、ある子ども(小児糖尿病患者)を病院に見舞ったとき、看護婦からそ
ういう報告を受けたことがある。

 こうした突発的な行動については、次のように説明されている。つまり脳からは常に相反する
二つの命令が出ている。行動命令と抑制命令である。たとえば手でものをつかむとき、「つか
め」という行動命令と、「つかむな」という抑制命令が同時に出る。

この二つの命令がバランスよく調和して、人間はスムーズな動きをすることができる。しかし低
血糖になると、このうちの抑制命令のほうが阻害され、動きがカミソリでスパスパとものを切る
ような動きになる。先のH君の場合は、こまかい作業をさせると、震えるというよりは、手が勝
手に小刻みに動いてしまい、それができなかった。また抑制命令が阻害されると、感情のコン
トロールもできなくなり、一度激怒すると、際限なく怒りが増幅される。そして結果として、それ
がキレる状態になる。

●恐ろしいカルシウム不足

 砂糖のとり過ぎは、子どもの心と体に深刻な影響を与えるが、それだけではない。砂糖をとり
過ぎると、カルシウム不足を引き起こす。

糖分の摂取が、体内のカルシウムを奪い、虫歯の原因になることはよく知られている。体内の
ブドウ糖は炭酸ガスと水に分解され、その炭酸ガスが、血液に酸性にする。その酸性化した血
液を中和しようと、骨の中のカルシウムが、溶け出るためと考えるとわかりやすい。

体内のカルシウムの98%は、骨に蓄積されている。そのカルシウムが不足すると、「(1)脳の
発育が不良になったり、(2)脳神経細胞の興奮性を亢進したり、(3)精神疲労をしやすくまた
回復が遅くなるなどの症状が現われる」(片瀬淡氏「カルシウムの医学」)という。わかりやすく
言えば、カルシウムが不足すると、知恵の発達が遅れ、興奮しやすく、また精神疲労を起こし
やすいというのだ。甘い食品を大量に摂取していると、このカルシウム不足を引き起こす。

++++++++++++++++++++++++++はやし浩司

●生化学者ミラー博士らの実験

 精製されてない白砂糖を、日常的に多量に摂取すると、インスリンの分泌が、脳間伝達物質
であるセロトニンの分泌をうながし、それが子どもの異常行動を引き起こすという。アメリカの
生化学者のミラーは、次のように説召している。

 「脳内のセロトニンという(脳間伝達)ニューロンから脳細胞に情報を伝達するという、神経中
枢に重要な役割をはたしているが、セロトニンが多すぎると、逆に毒性をもつ」(「マザーリン
グ」八一年(7)号)と。日本でも、自閉症や子どもの暴力、無気力などさまざまな子どもによる
問題行動が、食物と関係しているという研究がなされている。ちなみに、食品に含まれている
白砂糖の量は、次のようになっている。

製品名             一個分の量    糖分の量         
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー        
 ヨーグルト    【森永乳業】     90ml  9・6g         
 伊達巻き       【紀文】     39g  11・8g         
 ミートボール   【石井食品】 1パック120g  9・0g         
 いちごジャム   【雪印食品】  大さじ30g  19・7g         
 オレンジエード【キリンビール】    250ml  9・2g         
 コカコーラ              250ml 24・1g         
 ショートケーキ    【市販】  一個100g  28・6g         
 アイス      【雪印乳業】  一個170ml  7・2g         
 オレンジムース  【カルピス】     38g   8・7g         
 プリン      【協同乳業】  一個100g  14・2g         
 グリコキャラメル【江崎グリコ】   4粒20g   8・1g         
 どら焼き       【市販】   一個70g  25g          
 クリームソーダ    【外食】  一杯      26g           
 ホットケーキ     【外食】  一個      27g          
 フルーツヨーグルト【協同乳業】    100g  10・9g         
 みかんの缶詰   【雪印食品】    118g  15・3g         
 お好み焼き   【永谷園食品】  一箱240g  15・0g         
 セルシーチョコ 【江崎グリコ】   3粒14g   5・5g         
 練りようかん     【市販】  一切れ56g  30・8g         
 チョコパフェ     【市販】  一杯      24・0g       

●砂糖は白い麻薬

 H君の母親はこう言った。「祖母(父親の実母)の趣味が、ジャムづくりで、毎週ビンに入った
ジャムを届けてくれます。うちでは、それを食べなければもったいないということで、パンや紅茶
など、あらゆるものにつけて食べています」と。

私はH君の食生活が、かなりゆがんだものと知り、とりあえず「砂糖断ち」をするよう進言した。
が、異変はその直後から起きた。幼稚園から帰ったH君が、冷蔵庫を足げりにしながら、「ビス
ケットがほしい、ビスケットがほしい」と泣き叫んだというのだ。母親は「麻薬患者の禁断症状の
ようで、恐ろしかった」と話してくれた。が、それから数日後。今度はH君が一転、無気力状態
になってしまったという。私がH君に会ったのは、ちょうど一週間後のことだったが、H君はまる
で別人のようになっていた。ボーッとして、反応がまるでなかった。母親はそういうH君を横目で
見ながら、「もう一度、ジャムを食べさせましょうか」と言ったが、私はそれに反対した。

●カルシウムは紳士をつくる

 戦前までは、カルシウムは、精神安定剤として使われていた。こういう事実もあって、イギリス
では、「カルシウムは紳士をつくる」と言われている。子どもの落ち着きなさをどこかで感じた
ら、砂糖断ちをする一方、カルシウムやマグネシウムなど、ミネラル分の多い食生活にこころ
がける。私の経験では、幼児の場合、それだけで、しかも一週間という短期間で、ほとんどの
子どもが見違えるほど落ち着くのがわかっている。

川島四郎氏(桜美林大学元教授)も、「ヒステリーやノイローゼ患者の場合、カルシウムを投与
するだけでなおる」(「マザーリング」八一年(7)号)と述べている。効果がなくても、ダメもと。そ
うでなくても、缶ジュース一本を子どもに買い与えて、「うちの子は小食で困ります」は、ない。体
重15キロ前後の子どもに、缶ジュースを一本与えるということは、体重60キロの人が、4本飲
む量に等しい。おとなでも缶ジュースを四本は飲めないし、飲めば飲んだで、腹の中がガボガ
ボになってしまう。

 なお問題となるのは、精製された白砂糖をいう。どうしても甘味料ということであれば、精製さ
れていない黒砂糖をすすめる。黒砂糖には、天然のミネラル分がほどよく配合されていて、こ
こでいう弊害はない。
(はやし浩司 家庭教育 育児 育児評論 教育評論 幼児教育 子育て はやし浩司 過剰
行動児 セロトニン悪玉説 キレる子供の原因 キレる子どもの原因 切れる子供 原因 キ
レる子ども 原因 原因物質)


【キレる子供・補足】

●シシリー宣言

1995年11月、イタリアのシシリー島のエリゼに集まった18名の学者が、緊急宣言を行った。
これがシシリー宣言である。その内容は「衝撃的なもの」(グリーンピース・JAPAN)なものであ
った。

いわく、「これら(環境の中に日常的に存在する)化学物質による影響は、生殖系だけではな
く、行動的、および身体的異常、さらには精神にも及ぶ。これは、知的能力および社会的適応
性の低下、環境の要求に対する反応性の障害となってあらわれる可能性がある」と。つまり環
境ホルモンが、人間の行動にまで影響を与えるというのだ。

が、これで驚いていてはいけない。シシリー宣言は、さらにこう続ける。「環境ホルモンは、脳の
発達を阻害する。神経行動に異常を起こす。衝動的な暴力・自殺を引き起こす。奇妙な行動を
引き起こす。

多動症を引き起こす。IQが低下する。人類は50年間の間に5ポイントIQが低下した。人類の
生殖能力と脳が侵されたら滅ぶしかない」と。ここでいう「社会性適応性の低下」というのは、具
体的には、「不登校やいじめ、校内暴力、非行、犯罪のことをさす」(「シシリー宣言」・グリーン
ピース・JAPAN)のだそうだ。

 この事実を裏づけるかのように、マウスによる実験だが、ビスワエノールAのように、環境ホ
ルモンの中には、母親の胎盤、さらに胎児の脳関門という二重の防御を突破して、胎児の脳
に侵入するものもあるという。つまりこれらの環境ホルモンが、「脳そのものの発達を損傷す
る」(船瀬俊介氏「環境ドラッグ」より)という。

(4)教育の分野からの考察

 前後が逆になったが、当然、教育の分野からも「キルる子ども」の考察がなされている。しか
しながら教育の分野では、キレる子どもの定義すらなされていない。なされないままキレる子ど
もの議論だけが先行している。ただその原因としては、

(1)親の過剰期待、そしてそれに呼応する子どもの過負担。
(2)学歴社会、そしてそれに呼応する受験競争から生まれる子ども側の過負担などが、考えら
れる。こうした過負担がストレッサーとなって、子どもの心を圧迫する。

ただこの段階で問題になるのが、子ども側の耐性である。最近の子どもは、飽食とぜいたくの
中で、この耐性を急速に喪失しつつあると言える。わずかな負担だけで、それを過負担と感
じ、そしてそれに耐えることがないまま、怒りを爆発させてしまう。親の期待にせよ、学歴社会
にせよ、それは子どもを取り巻く環境の中では、ある程度は容認されるべきものであり、こうし
た環境を子どもの世界から完全に取り除くことはできない。これらを整理すると、次のようにな
る。

(1)環境の問題
(2)子どもの耐性の問題。

●終わりに……

以上のように、「キレる子ども」と言っても、その内容や原因はさまざまであり、その分野に応じ
て考える必要がある。またこうした考察をしてのみ、キレる子どもの問題を正面からとらえるこ
とができる。一番危険なのは、キレる子どもを、ただばくぜんと、もっと言えば感傷的にとらえ、
それを論ずることである。こうした問題のとらえ方は、問題の本質を見誤るばかりか、かえって
教育現場を混乱させることになりかねない。


Hiroshi Hayashi+++++++++Sep 06+++++++++++はやし浩司

【砂糖は白い麻薬】

++++++++++++++++++

子どもの突発的な凶暴性は、
低血糖によると考えられている。

しかし、だからといって、
甘味料(白砂糖)の多い食品を
子どもに与えろということでは
ない。

誤解のないようにしたい。

+++++++++++++++++

●独特の動き

 キレるタイプの子どもは、独特の動作をすることが知られている。動作が鋭敏になり、突発的
にカミソリでものを切るようにスパスパとした動きになるのがその一つ。

原因についてはいろいろ言われているが、脳の抑制命令が変調したためにそうなると考えると
わかりやすい。

そしてその変調を起こす原因の一つが、白砂糖(精製された砂糖)だそうだ(アメリカ小児栄養
学・ヒューパワーズ博士)。つまり一時的にせよ白砂糖を多く含んだ甘い食品を大量に摂取す
ると、インスリンが大量に分泌され、そのインスリンが脳間伝達物質であるセロトニンの大量分
泌をうながし、それが脳の抑制命令を阻害する、と。

●U君(年長児)のケース

U君の母親から相談があったのは、4月のはじめ。U君がちょうど年長児になったときのことだ
った。母親はこう言った。「部屋の中がクモの巣みたいです。どうしてでしょう?」と。U君は突発
的に金きり声をあげて興奮状態になるなどの、いわゆる過剰行動性が強くみられた。このタイ
プの子どもは、まず砂糖づけの生活を疑ってみる。聞くと母親はこう言った。

 「おばあちゃんの趣味がジャムづくりで、毎週そのジャムを届けてくれます。それで残したらも
ったいないと思い、パンにつけたり、紅茶に入れたりしています」と。そこで計算してみるとU君
は一日、100〜120グラムの砂糖を摂取していることがわかった。かなりの量である。そこで
私はまず砂糖断ちをしてみることをすすめた。が、それからがたいへんだった。

●禁断症状と愚鈍性

 U君は幼稚園から帰ってくると、冷蔵庫を足で蹴飛ばしながら、「ビスケットをくれ、ビスケット
をくれ!」と叫ぶようになったという。

急激に砂糖断ちをすると、麻薬を断ったときに出る禁断症状のようなものがあらわれることが
ある。U君のもそれだった。夜中に母親から電話があったので、「砂糖断ちをつづけるように」
と私は指示した。が、その一週間後、私はU君の姿を見て驚いた。

U君がまるで別人のように、ヌボーッとしたまま、まったく反応がなくなってしまったのだ。何かを
問いかけても、口を半開きにしたまま、うつろな目つきで私をぼんやりと私を見つめるだけ。母
親もそれに気づいてこう言った。「やはり砂糖を与えたほうがいいのでしょうか」と。

●砂糖は白い麻薬

これから先は長い話になるので省略するが、要するに子どもに与える食品は、砂糖のないも
のを選ぶ。今ではあらゆる食品に砂糖は含まれているので、砂糖を意識しなくても、子どもの
必要量は確保できる。ちなみに幼児の一日の必要摂取量は、約10〜15グラム。この量はイ
チゴジャム大さじ一杯分程度。

もしあなたの子どもが、興奮性が強く、突発的に暴れたり、凶暴になったり、あるいはキーキー
と声をはりあげて手がつけられないという状態を繰り返すようなら、一度、カルシウム、マグネ
シウムの多い食生活に心がけながら、砂糖断ちをしてみるとよい。効果がなくてもダメもと。砂
糖は白い麻薬と考える学者もいる。子どもによっては一週間程度でみちがえるほど静かに落
ち着く。

●リン酸食品

なお、この砂糖断ちと合わせて注意しなければならないのが、リン酸である。リン酸食品を与え
ると、せっかく摂取したカルシウム分を、リン酸カルシウムとして体外へ排出してしまう。

と言っても、今ではリン酸(塩)はあらゆる食品に含まれている。たとえば、ハム、ソーセージ
(弾力性を出し、歯ごたえをよくするため)、アイスクリーム(ねっとりとした粘り気を出し、溶けて
も流れず、味にまる味をつけるため)、インスタントラーメン(やわらかくした上、グニャグニャせ
ず、歯ごたえをよくするため)、プリン(味にまる味をつけ、色を保つため)、コーラ飲料(風味を
おだやかにし、特有の味を出すため)、粉末飲料(お湯や水で溶いたりこねたりするとき、水に
よく溶けるようにするため)など(以上、川島四郎氏)。

かなり本腰を入れて対処しないと、リン酸食品を遠ざけることはできない。

●こわいジャンク・フード

ついでながら、W・ダフティという学者はこう言っている。「自然が必要にして十分な食物を生み
出しているのだから、われわれの食物をすべて人工的に調合しようなどということは、不必要
なことである」と。

つまりフード・ビジネスが、精製された砂糖や炭水化物にさまざまな添加物を加えた食品(ジャ
ンク・フード)をつくりあげ、それが人間を台なしにしているというのだ。「(ジャンク・フードは)疲
労、神経のイライラ、抑うつ、不安、甘いものへの依存性、アルコール処理不能、アレルギーな
どの原因になっている」とも。

●U君の後日談

 砂糖漬けの生活から抜けでたとき、そのままふつう児にもどる子どもと、U君のように愚鈍性
が残る子どもがいる。それまでの生活にもよるが、当然のことながら砂糖の量が多く、その期
間が長ければ長いほど、後遺症が残る。

U君のケースでは、それから小学校へ入学するまで、愚鈍性は残ったままだった。白砂糖はカ
ルシウム不足を引き起こし、その結果、「脳の発育が不良になる。先天性の脳水腫をおこす。
脳神経細胞の興奮性を亢進する。痴呆、低脳をおこしやすい。精神疲労しやすく、回復がおそ
い。神経衰弱、精神病にかかりやすい。一般に内分泌腺の発育は不良、機能が低下する」(片
瀬淡氏「カルシウムの医学」)という説もある。

子どもの食生活を安易に考えてはいけない。
(はやし浩司 家庭教育 育児 育児評論 教育評論 幼児教育 子育て はやし浩司 子ど
もの食生活 子供の食生活 ジャンクフード ジャンク・フード 低血糖児 砂糖 白い麻薬)


Hiroshi Hayashi+++++++++Sep 06+++++++++++はやし浩司









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