乗鞍岳(0608−11)
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06年の夏、岐阜県の乗鞍岳に登りました。


























富士見岳山頂にて




































【乗鞍岳】

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台風の動きを心配しながら、
ワイフと2人で、乗鞍岳に
登ってきた。

絶好の登山日和(びより)。
ラッキーだった。

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●どこかへ行こう

 地元の電車会社が経営するバス会社のツアーを利用して、岐阜県の乗鞍岳へ行ってきた。
その会社では、『バンビ・ツアー』と呼んでいる。

 息子たちが子どものころは、よく利用させてもらった。しかし一度、タバコの煙でこりてからと
いうもの、利用するのをやめた。が、先日、問い合わせると、「全車、禁煙です」とのこと。

 行き先は、決めていなかった。何しろ、「どこかへ……」と思いたったのが、数日前。空席が
あるところをさがしたら、そこしかなかった。つまり、乗鞍岳・お花畑ツアー。

 「ここにしようか?」「しかたないわね……」と。

●天気は最高

 料金は、おとな6900円。往復のバス代金と、昼食のお弁当つき。安い!

 が、心配なのは、天気。台風、7号、8号、9号が、相ついで日本に向かって進んでいるときで
もあった。が、7号は、日本列島をかすめて北上。8号、9号は、中国大陸に上陸。

 8月11日は、日本は、おだやかな高気圧にすっぽりと包まれた。朝から、好天気。ワイフは、
傘や雨合羽(がっぱ)まで用意していたが、その必要はなかった。

 私たちは、ウキウキ気分で、バスに乗った。ガイドさんも、乗ったとたん、「今日は、好天気に
恵まれました」と、さかんに言いだした。「おとといのツアーは、キャンセルだったのです」と。

●高速道路

 バスは、一度東名高速道路に入り、岡崎から、東海環状自動車道を通り、美濃へ。そこから
今度は、東海北陸自動車道に乗りかえ、郡上八幡へ。最後は、高山市内を経て、乗鞍岳(のり
くらだけ)へ。

 朝、6時40分に浜松の西インターを出発して、昼前には、乗鞍岳へ着いた。

 いつの間にか、高速道路が網の目のように、張りめぐされていた。「便利になった」と感心す
る前に、「ムダなものばかり作っている」と。東名高速道路は、渋滞ぽくなっていたが、東名高
速道路をはずれると、車は、まばら。対向車となると、ときどき、ポツンポツンと、すれちがう程
度。

私「道路を作るのはいいが、こういう道路は、維持費がたいへんなんだよ」
ワ「立派な道ね」
私「立派過ぎるよ……」
ワ「今は、もっと、車が多くてもいいはずよ」
私「今でさえこんな程度だから、ふだんは、もっと閑散としているはずだよ」と。

 時は、夏休み。すでに盆休みをとっている人も多いはず。

●乗鞍岳

 バスは、どんどんんと山道を登った。曲がりくねった道だったが、それほど気にならなかっ
た。が、登るにつれて、まわりの美しい景色が、つぎつぎと目に飛びこんできた。

 「あれは槍ヶ岳だ」「そのこちらは穂高だ」と。本当は、名前しか知らなかった。その名前を、
口にした。が、乗鞍岳は、見えなかった。

私「この先に乗鞍岳があるのだろうか」
ワ「この先みたいね」と。

 バスは、深い林の中を、相変わらず、何度も方向を変えながら走りつづけていた。

 が、突然、その林が消え、背の低い木々、それにゴロゴロとした岩場が、目に飛びこんでき
た。と、同時に、目の前に、おおいかぶさるように、高い山が見えてきた。

 それが乗鞍岳だった。そのころから、私は、あたりかまわず、デジタルカメラのシャッターを切
った。

●富士見岳

 バスのターミナルは、野球場ほどの広場になっていた。何台かの観光バスが、すでにとまっ
ていた。

 私はバスをおりると、これまた真っ先に、デジタルカメラのシャッターを、切った。

 何とも言えない開放感。青い空、緑の草原、それに澄んだ空気! 近くの山々が、どれも手
が届くような距離に見える。遠近感が、まるでない!

 前に、富士見岳(2817m)、うしろに魔王岳(2831m)。広場から見て、右前方に、コロナ観
測所のある摩利支天岳(2872m)。

 私たちは、迷わず、富士見岳をめざした。これといった理由はなかったが、登れそうな山で、
一番高そうな山が、それだったからである。

●ワイフ

 私の足は、鍛えてある。しかしワイフは、そうでない。10分も歩くと、案の定、ワイフは、ハー
ハーとあえぎ出した。

 「空気が薄いわね」と、何度も言ったが、私には、それはわからなかった。さわやかな高原の
空気。下界では、35度を超えているということだったが、山頂は、肌寒さを感ずるほどだった。

私「休もうか」
ワ「だいじょうぶよ」と。

 こんな会話を繰りかえした。が、気がつくと、私はワイフの手を引きながら、歩いていた。

私「あと半分だ」
ワ「……」
私「ここまで来て、引きかえすこともいやだしね」
ワ「……」と。

 ゴロゴロした岩がむき出しになっていた。道というよりは、その岩を避けながら、山道を登っ
た。

 こういう山では、距離感が、わからない。下にいる人と、山頂にいる人を見比べならが、自分
がどのあたりにいるかを知る。私たちは、その両者が、ほとんど同じくらいに見えるところで、
一休みした。

●山頂

 予想どおりだった。登った甲斐(かい)があった。すばらしかった。気持ちよかった。

 山頂には、10人前後の人たちがいて、それぞれ思い思いの場所に腰をすえたり、そこで立
って写真を撮ったりしていた。風はあったが、春のそよ風といったふうだった。

 夏山では、ここまで晴れる日は珍しいとか。そのありがたさは、よくわからなかったが、私は、
そこで何十枚も写真を撮った。記念にと、だれかに写真も撮ってもらった。

 ワイフは、何度も、「天国みたい」と言った。私も、すなおにそれに同意した。

 「もし、天国があるなら、こういう世界を言うのかもね」と。

ワ「ずっと、このままで時間が止まるといいわ」
私「そうだな。このままでね」
ワ「止まらないかしら」
私「それは無理だよ」と。

 そのとき、少し高いところを、双発の小型機が飛んでいった。

私「英市も、ああして、空を飛んでいるのか」
ワ「昨日のBLOGでは、高度1万フィートまであがったとあったわ」
私「3000メートルくらいだよ」
ワ「ここと同じくらいね」
私「そうだな」と。

 飛行機は見る見るうちに遠ざかって、やがて、私たちはそれを見失ってしまった。

 とたん、また時が流れ始めた。

 私たちは、登ったときとは反対側の道をおりて、広場にもどることにした。「こちらのほうが、
おりやすいみたい」とワイフが、言った。それでそうした。
(06年8月11日記)





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