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その他

子育て・はじめの一歩
毎日(EVR)掲載記事より(日母ビデオシステム制作)
全国の病院・医院などに、約100万部配布されました。)


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子どもとゲーム

【ゲーム中毒】

++++++++++++++

おとなりの韓国では、インターネット
依存症に関する相談件数が、03年の
2559件から、06年の5万1777件
へと、急速にふえているという(韓国情報文化
振興院)。

しかしこれはそのまま、日本の2〜3年後の
問題と考えてよい。
(07年6月29日記)

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おとなりの韓国では、子どもたちのゲーム中毒が、
問題になっている。今朝の朝鮮N報には、つぎのよう
にある。(読みやすくするため、私のほうで、文章を
少し改変した。)

++++++++++++++

【朝鮮N報の記事より】

 ソウルに住む中学3年生のカン君(15歳)は、小学1年生の時、初めてコンピュータの使い方
を教わった。 

 家で1日1時間を越えない程度にインターネットゲームをしていたカン君だったが、5年生のこ
ろからネットカフェに出入りするようになった。1日2〜3時間、ゲームするようになった。

やがてカン君はゲームをせずにはいられないようになっていった。小学校では上位だった成績
も、中学校に入ったころから急に下がった。

このころになってやっと、カン君の両親は息子が毎日ネットカフェで、4〜5時間ゲームをしてい
ることを知った。中2になると、カン君は下校後から夜12時までゲーム漬けになっていった。

夜遅くになってもカン君が家に戻らないため、両親は近所のネットカフェを捜し回った。しつけ
のために、ムチを手にした親に、カン君は、「どうしてゲームをさせてくれないんだ!」と食って
かかった。

そしてゲームをやめさせると、極度に神経が過敏になったり、手が震えたりする「禁断症状」が
出始めた。カン君は今年初めに、韓国コンピュータ生活研究所に相談し、以後、現在にいたる
まで、治療を受けている。

◆寝言でもネットカフェ

 ネットカフェに通う子どもが陥りやすいゲーム依存症は、うつ病などの精神疾患をはじめ、深
刻な症状に至るケースがある。サイバー空間に入り込んだ子供たちの精神が、麻薬に侵され
たようになるのだ。

 ゲーム依存症になった子供たちは、ゲームの中のバーチャルな世界と現実の区別がつかな
くなったり、ゲーム用語を寝言で言ったりするようになる。

 ソウル市中浪区面牧洞に住むユン君(高3)は昨年初め、オンラインゲーム「リネージュ」には
まっていた。自宅近くのネットカフェで1日5〜6時間ゲームをし、週末はネットカフェで夜を明か
した。

そして家に戻ると失語症に近いと思われるくらいに、口数が減った。話す時も視線が定まって
いない。眠っていても「アイテム(ゲームで使う武器)が必要なのに…」と寝言を言う。両親と共
に相談所を訪れたユン君は、典型的な「ゲーム依存症」と診断された。

 45歳の男性は、高1の息子のことが心配でたまらないという。息子の成績が下がる一方な
ので、息子が通っているという読書室(自習・受験勉強用にパーテーションが設けられた机の
ある私設スペース)に行ってみた。

すると読書室の経営者は、「そういう名前の生徒は来たことがない」と答えた。そこで夜遅く帰
宅した息子を問いただすと、息子は「読書室利用料としてもらっていたお金は全部、ネットカフ
ェのゲーム代に使ってしまった」と告白した。

韓国コンピュータ生活研究所のオ・ギジュン所長は「韓国の青少年文化にはすでにインターネ
ットゲームが深く浸透している。昔の子供たちは『○○時に△△で会おう』と約束していたが、
最近では、『○○のネットカフェで、△△ゲームのサーバーに入って来いよ』と言うようになっ
た」と話す。

 大韓青少年精神医学会が今年初め、インターネット依存症で医療機関の治療を受けている
青少年203人を対象に調査を行ったところ、患者の90%以上が男子学生で、そのうち70%以
上が、大規模マルチプレイヤー・オンラインゲーム(MMOG=多人数が同時にアクセスし、そ
れぞれの役割を担って行うゲーム)にはまっていた。

インターネットゲーム依存症は中学生が43・3%で最も多く、ついで高校生28・3%、高校卒業
者が10・3%だった。

中毒患者は11歳から急増し始め、14歳が最も多かった。このうち85%はうつ病や衝動抑制
障害(何らかの衝動を自分で抑制できない障害)といった精神疾患を経験していた。

+++++++++++++++

ここまで読んだだけでも、この問題が
いかに深刻なものかがわかる。

しかしこの問題には、さらに先が
ある。

朝鮮N報は、つぎのようにつづける。

+++++++++++++++

●暴力を助長するゲーム依存症

 ゲーム依存症になった子供の共通点は、暴力的な性格になってしまうということだ。

 仁川市に住むウさん(44)はゲームに没頭する中3の二男を叱ったとき、驚いた。普段は物
静かな二男が、突然「だからって俺がどう変わるって言うんだよ!」と、叫んだというのだ。

ウさんは「内気だとばかり思っていた二男が、ゲームにはまって性格が変わってしまった」と力
なく語った。

 一方、ゲーム依存症が重大な犯罪につながるケースもある。先日、京畿道盆唐のショッピン
グセンターの駐車場で20代の女性客を殺害し、約11万ウォン(約1万4700円)を盗んだキ
ム容疑者(26)は「ゲーム依存症」だった。

また先月、釜山では暴力的なゲームに熱中していた中3男子が、これを叱った祖母に暴力を
振るい、死亡させるという事件が起きている。今年4月に米バージニア工科大学銃乱射事件を
起こしたチョ・スンヒ容疑者(23)=死亡=も、友達がいず、ゲームに没頭していたという。

 韓国情報文化振興院が全国の青少年相談所の相談例を集計したところ、インターネット依
存症に関する相談は昨年5万1777件に上り、5年前の02年の2559件に比べ約20倍にも
急増したという。このうち「ゲーム依存症」の相談は80・3%に達したという。

++++++++++++++

さらに朝鮮N報は、どんな子ども
がゲーム依存症になりやすいかに
ついても、書いている。

たいへん参考になるので、そのまま
紹介させてもらう。

++++++++++++++

●ゲーム依存症になりやすい子ども

ゲーム依存症になりやすいのはどんな子供だろうか。 

 専門家は「ゲーム依存症は習慣によるものが多いが、先天的に衝動を抑制する脳の機能が
弱い子供がかかりやすい」と話す。

小さいころからキレやすく、気が短ければ短いほどゲーム依存症にかかる確率が高いというこ
とだ。

ナウ精神科医院のキム・ジンミ院長は、「脳の自律調節機能が弱く、衝動的な欲求を抑制でき
ない場合、ゲーム依存症になる可能性が高い。こうした子供はゲームのバーチャル空間に登
場する主人公と自分の区別がつかなくなり、深い依存症に陥る」と説明する。

 一方、青少年だけでなく、大人のゲーム依存症も深刻な問題になりつつある。

米国医師会(AMA)はゲーム依存症を精神疾患の1つとして分類する案を検討している。

建国大学付属病院神経・精神科のハ・ジヒョン教授は、「ネットカフェにいるゲーム依存症患者
は、注意欠陥・多動性障害(ADHD)や、うつ病といった精神的な問題を起こすが、これは性格
的な要因だけでなく、家庭不和などの環境的な要因が影響しているケースも少なくない。親が
まず、子供がゲーム依存症になった原因を分析し、対応する必要がある」と警告している。
(以上、朝鮮N報・6月28日号)

+++++++++++++

日本でも、「ゲーム脳」という
言葉を使って、この問題について、
いろいろな側面から、検討が
加えられている。

現在は、「ゲームは危険である」という説と、
「ゲームは危険ではない」という説が、
入り乱れている状態と考えてよい。

さらにおかしな現象として、
こうしたゲームの世界を批判したり、
批評したりすると、それに対して
ものすごい反発が起きるということ。

私も7年前に、『ポケモン・カルト』
(三一書房)を発表した。が、この本に
対する反発には、ものすごいものが
あった。

いまだに、「お前は、オレたちの夢を
破壊するのか」という抗議のメールが
届いたりする。しかも20歳を過ぎた、
大(だい)のおとなたちから……。

こうした現象は、「ゲーマーたちの世界」が、
カルト化しているためによって起こるものと
考えてよい。

冒頭に書いたように、韓国で今、起きている
問題は、数年後の日本の問題と考えてよい。

++++++++++++++

私が少し前(05年、8月)に
書いた原稿を、もう一度、
そのまま紹介します。

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【ゲーム脳】

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ゲームばかりしていると、脳ミソがおかしくなるぞ!

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最近、急に脚光を浴びてきた話題に、「ゲーム脳」がある。ゲームづけになった脳ミソを「ゲー
ム脳」いう。このタイプの脳ミソには、特異的な特徴がみられるという。しかし、「ゲーム脳」と
は、何か。NEWS WEB JAPANは、つぎのように報道している(05年8月11日)。

『脳の中で、約35%をしめる前頭葉の中に、前頭前野(人間の拳程の大きさで、記憶、感情、
集団でのコミュニケーション、創造性、学習、そして感情の制御や、犯罪の抑制をも司る部分)
という、さまざまな命令を身体全体に出す司令塔がある。

この司令塔が、ゲームや携帯メール、過激な映画やビデオ、テレビなどに熱中しすぎると働か
なくなり、いわゆる「ゲーム脳」と呼ばれる状態になるという。それを科学的に証明したのが、東
北大のK教授と、日大大学院のM教授である』(以上、NEWS WEB JAPAN※)。

 つまりゲーム脳になると、管理能力全般にわたって、影響が出てくるというわけである。この
ゲーム脳については、すでに、さまざまな分野で話題になっているから、ここでは、省略する。
要するに、子どもは、ゲームづけにしてはいけないということ。

 が、私がここで書きたいのは、そのことではない。

 この日本では、(世界でもそうかもしれないが)、ゲームを批判したり、批評したりすると、もの
すごい抗議が殺到するということ。上記のK教授のもとにも、「多くのいやがらせが、殺到してい
る」(同)という。

 考えてみれば、これは、おかしなことではないか。たかがゲームではないか(失礼!)。どうし
てそのゲームのもつ問題性を指摘しただけで、抗議の嵐が、わき起こるのか?

 K教授らは、「ゲームばかりしていると、脳に悪い影響を与えますよ」と、むしろ親切心から、
そう警告している。それに対して、(いやがらせ)とは!

 実は、同じことを私も経験している。5、6年前に、私は「ポケモンカルト」(三一書房)という本
を書いた。そのときも、私のところのみならず、出版社にも、抗議の嵐が殺到した。名古屋市
にあるCラジオ局では、1週間にわたって、私の書いた本をネタに、賛否両論の討論会をつづ
けたという。が、私が驚いたのは、抗議そのものではない。そうした抗議をしてきた人のほとん
どが、子どもや親ではなく、20代前後の若者、それも男性たちであったということ。

 どうして、20代前後の若者たちが、子どものゲームを批評しただけで、抗議をしてくるのか?
 出版社の編集部に届いた抗議文の中には、日本を代表する、パソコン雑誌の編集部の男性
からのもあった。

 「子どもたちの夢を奪うのか!」
 「幼児教育をしながら、子どもの夢が理解できないのか!」
 「ゲームを楽しむのは、子どもの権利だ!」とか何とか。

 私の本の中の、ささいな誤字や脱字、どうでもよいような誤記を指摘してきたのも多かった。
「貴様は、こんな文字も書けないのに、偉そうなことを言うな」とか、「もっと、ポケモンを勉強し
てからものを書け」とか、など。

 (誤字、脱字については、いくら推敲しても、残るもの。100%、誤字、脱字のない本などな
い。その本の原稿も、一度、プロの推敲家の目を経ていたのだが……。)

 反論しようにも、どう反論したらよいかわからない。そんな低レベルの抗議である。で、そのと
きは、「そういうふうに考える人もいるんだなあ」という程度で、私はすませた。

 で、今回も、K教授らのもとに、「いやがらせが、殺到している」(同)という。

 これはいったい、どういう現象なのか? どう考えたらよいのか?

 一つ考えられることは、ゲームに夢中になっている、ゲーマーたちが、横のつながりをもちつ
つ、カルト化しているのではないかということ。ゲームを批判されるということは、ゲームに夢中
になっている自分たちが批判されるのと同じ……と、彼らは、とらえるらしい(?)。おかしな論
理だが、そう考えると、彼らの心理状態が理解できる。

 実は、カルト教団の信者たちも、同じような症状を示す。自分たちが属する教団が批判され
たりすると、あたかも自分という個人が批判されたかのように、それに猛烈に反発したりする。
教団イコール、自分という一体感が、きわめて強い。

 あのポケモン全盛期のときも、こんなことがあった。私が、子どもたちの前で、ふと一言、「ピ
カチューのどこがかわいいの?」ともらしたときのこと。子どもたちは、その一言で、ヒステリー
状態になってしまった。ギャーと、悲鳴とも怒号ともわからないような声をあげる子どもさえい
た。

 そういう意味でも、ゲーム脳となった脳ミソをもった人たちと、カルト教団の信者たちとの間に
は、共通点が多い。たとえばゲームにハマっている子どもを見ていると、どこか狂信的。現実と
空想の世界の区別すら、できなくなる子どもさえいる。たまごっちの中の生き物(?)が死んだ
だけで、ワーワーと大泣きした子ども(小1女児)もいた。

これから先、ゲーム脳の問題は、さらに大きく、マスコミなどでも、とりあげられるようになるだ
ろう。これからも注意深く、監視していきたい。

 ところで、今日の(韓国)の新聞によれば、テレビゲームを50時間もしていて、死んでしまっ
た若者がいるそうだ。たかがゲームと、軽くみることはできない。

注※……K教授は、ポジトロンCT(陽電子放射断層撮影)と、ファンクショナルMRI(機能的磁
気共鳴映像)いう脳の活性度を映像化する装置で、実際にゲームを使い、数十人を測定した。
そして、2001年に世界に先駆けて、「テレビゲームは前頭前野をまったく発達させることはな
く、長時間のテレビゲームをすることによって、脳に悪影響を及ぼす」という実験結果をイギリ
スで発表した。

この実験結果が発表された後に、ある海外のゲーム・ソフトウェア団体は「非常に狭い見識に
基づいたもの」というコメントを発表し、教授の元には多くの嫌がらせも殺到したという(NEWS
 WEB JAPANの記事より)。
(はやし浩司 ゲーム ゲームの功罪 ゲーム脳 ゲームの危険性)

++++++++++++++++++++++++++はやし浩司

●ゲーム脳(2)

【M君、小3のケース】

 M君の姉(小5)が、ある日、こう言った。「うちの弟、夜中でも、起きて、ゲームをしている!」
と。

 M君の姉とM君(小3)は、同じ部屋で寝ている。二段ベッドになっていて、上が、姉。下が、
M君。そのM君が、「真夜中に、ガバッと起きて、ゲームを始める。そのまま朝まで、しているこ
ともある」(姉の言葉)と。

 M君には、特異な症状が見られた。

 祖父が、その少し前、なくなった。その通夜の席でのこと。M君は、たくさん集まった親類の人
たちの間で、ギャーギャーと笑い声で、はしゃいでいたという。「まるで、パーティでもしているか
のようだった」(姉の言葉)と。

 祖父は、人一倍、M君をかわいがっていた。その祖父がなくなったのだから、M君は、さみし
がっても、よいはず。しかし、「はしゃいでいた」と。

 私はその話を聞いて、M君はM君なりに、悲しさをごまかしていたのだろうと思った。しかし別
の事件が、そのすぐあとに起きた。

 M君が、近くの家の庭に勝手に入り込み、その家で飼っていた犬に、腕をかまれて、大けが
をしたというのだ。その家の人の話では、「庭には人が入れないように、柵がしてあったのです
が、M君は、その柵の下から、庭へもぐりこんだようです」とのこと。

 こうした一連の行為の原因が、すべてゲームにあるとは思わないが、しかしないとも、言い切
れない。こんなことがあった。

 M君の姉から、真夜中にゲームをしているという話を聞いた母親が、M君から、ゲームを取り
あげてしまった。その直後のこと。M君は狂ったように、家の中で暴れ、最後は、自分の頭をガ
ラス戸にぶつけ、そのガラス戸を割ってしまったという。

 もちろんM君も、額と頬を切り、病院で、10針前後も、縫ってもらうほどのけがをしたという。
そのあまりの異常さに気づいて、しばらくしてから、M君の母親が、私のところに相談にやって
きた。

 私は、日曜日にときどき、M君を教えるという形で、M君を観察させてもらうことにした。その
ときもまだ、腕や顔に、生々しい、傷のあとが、のこっていた。

 そのM君には、いくつかの特徴が見られた。

(1)まるで脳の中の情報が、乱舞しているかのように、話している話題が、めまぐるしく変化し
た。時計の話をしていたかと思うと、突然、カレンダーの話になるなど。

(2)感情の起伏がはげしく、突然、落ちこんだかと思うと、パッと元気になって、ギャーと騒ぐ。
イスをゴトゴト動かしたり、机を意味もなく、バタンとたたいて見せたりする。

(3)頭の回転ははやい。しばらくぼんやりとしていたかと思うと、あっという間に、計算問題(割
り算)をすませてしまう。そして「終わったから、帰る」などと言って、あと片づけを始める。

(4)もちろんゲームの話になると、目の色が変わる。彼がそのとき夢中になっていたのは、N
社のGボーイというゲームである。そのゲーム機器を手にしたとたん、顔つきが能面のように無
表情になる。ゲームをしている間は、目がトロンとし、死んだ、魚の目のようになる。

 M君の姉の話では、ひとたびゲームを始めると、そのままの状態で、2〜3時間はつづける
そうである。長いときは、5時間とか、6時間もしているという。(同じころ、12時間もゲームをし
ていたという中学生の話を聞いたことがある。)

 以前、「脳が乱舞する子ども」という原稿を書いた(中日新聞発表済み)。それをここに紹介す
る。もう4、5年前に書いた原稿だが、状況は改善されるどころか、悪化している。

++++++++++++++++++++++++++はやし浩司

【子どもの脳が乱舞するとき】

●収拾がつかなくなる子ども

 「先生は、サダコかな? それともサカナ! サカナは臭い。それにコワイ、コワイ……、あ
あ、水だ、水。冷たいぞ。おいしい焼肉だ。鉛筆で刺して、焼いて食べる……」と、話がポンポ
ンと飛ぶ。頭の回転だけは、やたらと速い。まるで頭の中で、イメージが乱舞しているかのよ
う。動作も一貫性がない。騒々しい。

ひょうきん。鉛筆を口にくわえて歩き回ったかと思うと、突然神妙な顔をして、直立! そしてそ
のままの姿勢で、バタリと倒れる。ゲラゲラと大声で笑う。その間に感情も激しく変化する。目
が回るなんていうものではない。まともに接していると、こちらの頭のほうがヘンになる。

 多動性はあるものの、強く制止すれば、一応の「抑え」はきく。小学2、3年になると、症状が
急速に収まってくる。集中力もないわけではない。気が向くと、黙々と作業をする。30年前には
このタイプの子どもは、まだ少なかった。が、ここ10年、急速にふえた。小1児で、10人に2人
はいる。今、学級崩壊が問題になっているが、実際このタイプの子どもが、一クラスに数人もい
ると、それだけで学級運営は難しくなる。あちらを抑えればこちらが騒ぐ。こちらを抑えればあ
ちらが騒ぐ。そんな感じになる。

●崩壊する学級

 「学級指導の困難に直面した経験があるか」との質問に対して、「よくあった」「あった」と答え
た先生が、66%もいる(98年、大阪教育大学秋葉英則氏調査)。

「指導の疲れから、病欠、休職している同僚がいるか」という質問については、15%が、「1名
以上いる」と回答している。そして「授業が始まっても、すぐにノートや教科書を出さない」子ども
については、90%以上の先生が、経験している。ほかに「弱いものをいじめる」(75%)、「友
だちをたたく」(66%)などの友だちへの攻撃、「授業中、立ち歩く」(66%)、「配布物を破った
り捨てたりする」(52%)などの授業そのものに対する反発もみられるという(同、調査)。

●「荒れ」から「新しい荒れ」へ

 昔は「荒れ」というと、中学生や高校生の不良生徒たちの攻撃的な行動をいったが、それが
最近では、低年齢化すると同時に、様子が変わってきた。

「新しい荒れ」とい言葉を使う人もいる。ごくふつうの、それまで何ともなかった子どもが、突然、
キレ、攻撃行為に出るなど。多くの教師はこうした子どもたちの変化にとまどい、「子どもがわ
からなくなった」とこぼす。

日教組が98年に調査したところによると、「子どもたちが理解しにくい。常識や価値観の差を
感ずる」というのが、20%近くもあり、以下、「家庭環境や社会の変化により指導が難しい」(1
4%)、「子どもたちが自己中心的、耐性がない、自制できない」(10%)と続く。そしてその結果
として、「教職でのストレスを非常に感ずる先生が、8%、「かなり感ずる」「やや感ずる」という
先生が、60%(同調査)もいるそうだ。

●原因の一つはイメージ文化?

 こうした学級が崩壊する原因の一つとして、(あくまでも、一つだが……)、私はテレビやゲー
ムをあげる。「荒れる」というだけでは、どうも説明がつかない。家庭にしても、昔のような崩壊
家庭は少なくなった。

むしろここにあげたように、ごくふつうの、そこそこに恵まれた家庭の子どもが、意味もなく突発
的に騒いだり暴れたりする。そして同じような現象が、日本だけではなく、アメリカでも起きてい
る。実際、このタイプの子どもを調べてみると、ほぼ例外なく、乳幼児期に、ごく日常的にテレビ
やゲームづけになっていたのがわかる。ある母親はこう言った。

「テレビを見ているときだけ、静かでした」と。「ゲームをしているときは、話しかけても返事もし
ませんでした」と言った母親もいた。たとえば最近のアニメは、幼児向けにせよ、動きが速い。
速すぎる。しかもその間に、ひっきりなしにコマーシャルが入る。ゲームもそうだ。動きが速い。
速すぎる。

●ゲームは右脳ばかり刺激する

 こうした刺激を日常的に与えて、子どもの脳が影響を受けないはずがない。もう少しわかりや
すく言えば、子どもはイメージの世界ばかりが刺激され、静かにものを考えられなくなる。その
証拠(?)に、このタイプの子どもは、ゆっくりとした調子の紙芝居などを、静かに聞くことができ
ない。

浦島太郎の紙芝居をしてみせても、「カメの顔に花が咲いている!」とか、「竜宮城に魚が、お
しっこをしている」などと、そのつど勝手なことをしゃべる。一見、発想はおもしろいが、直感的
で論理性がない。ちなみにイメージや創造力をつかさどるのは、右脳。分析や論理をつかさど
るのは、左脳である(R・W・スペリー)。

テレビやゲームは、その右脳ばかりを刺激する。こうした今まで人間が経験したことがない新し
い刺激が、子どもの脳に大きな影響を与えていることはじゅうぶん考えられる。その一つが、こ
こにあげた「脳が乱舞する子ども」ということになる。

 学級崩壊についていろいろ言われているが、一つの仮説として、私はイメージ文化の悪弊を
あげる。

(付記)
●ふえる学級崩壊

 学級崩壊については減るどころか、近年、ふえる傾向にある。99年1月になされた日教組と
全日本教職員組合の教育研究全国大会では、学級崩壊の深刻な実情が数多く報告されてい
る。「変ぼうする子どもたちを前に、神経をすり減らす教師たちの生々しい告白は、北海道や
東北など各地から寄せられ、学級崩壊が大都市だけの問題ではないことが浮き彫りにされた」
(中日新聞)と。「もはや教師が一人で抱え込めないほどすそ野は広がっている」とも。

 北海道のある地方都市で、小学一年生70名について調査したところ、
 授業中おしゃべりをして教師の話が聞けない……19人
 教師の指示を行動に移せない       ……17人
 何も言わず教室の外に出て行く       ……9人、など(同大会)。

●心を病む教師たち

 こうした現状の中で、心を病む教師も少なくない。東京都の調べによると、東京都に在籍する
約6万人の教職員のうち、新規に病気休職した人は、93年度から4年間は毎年210人から2
20人程度で推移していたが、97年度は、261人。さらに98年度は355人にふえていること
がわかった(東京都教育委員会調べ・99年)。

この病気休職者のうち、精神系疾患者は。93年度から増加傾向にあることがわかり、96年
度に一時減ったものの、97年度は急増し、135人になったという。

この数字は全休職者の約五二%にあたる。(全国データでは、97年度は休職者が4171人
で、精神系疾患者は、1619人。)さらにその精神系疾患者の内訳を調べてみると、うつ病、う
つ状態が約半数をしめていたという。原因としては、「同僚や生徒、その保護者などの対人関
係のストレスによるものが大きい」(東京都教育委員会)ということである。

●その対策

 現在全国の21自治体では、学級崩壊が問題化している小学1年クラスについて、クラスを1
クラス30人程度まで少人数化したり、担任以外にも補助教員を置くなどの対策をとっている
(共同通信社まとめ)。

また小学6年で、教科担任制を試行する自治体もある。具体的には、小学1、2年について、
新潟県と秋田県がいずれも1クラスを30人に、香川県では40人いるクラスを、2人担任制に
し、今後5年間でこの上限を36人まで引きさげる予定だという。

福島、群馬、静岡、島根の各県などでは、小1でクラスが30〜36人のばあいでも、もう1人教
員を配置している。さらに山口県は、「中学への円滑な接続を図る」として、一部の小学校で
は、6年に、国語、算数、理科、社会の四教科に、教科担任制を試験的に導入している。大分
県では、中学1年と3年の英語の授業を、1クラス20人程度で実施している(01年度調べ)。
(はやし浩司 キレる子供 子ども 新しい荒れ 学級崩壊 心を病む教師)


++++++++++++++++++++++++++はやし浩司

●失行

 近年、「失行」という言葉が、よく聞かれるようになった。96年に、ドイツのシュルツという医師
が使い始めた言葉だという。

 失行というのは、本人が、わかっているのに、できない状態をいう。たとえば風呂から出たと
き、パジャマに着がえなさいと、だれかが言ったとする。本人も、「風呂から出たら、パジャマに
着がえなければならない」と、理解している。しかし風呂から出ると、手当たり次第に、そこらに
ある衣服を身につけてしまう。

 原因は、脳のどこかに何らかのダメージがあるためとされる。

 それはさておき、人間が何かの行動をするとき、脳から、同時に別々の信号が発せられると
いう。行動命令と抑制命令である。

 たとえば腕を上下させるときも、腕を上下させろという命令と、その動きを抑制する命令の二
つが、同時に発せられる。

 だから人間は、(あらゆる動物も)、スムーズな行動(=運動行為)ができる。行動命令だけだ
と、まるでカミソリでスパスパとものを切るような動きになる。抑制命令が強すぎると、行動その
ものが、鈍くなり、動作も緩慢になる。

 精神状態も、同じように考えられないだろうか。

 たとえば何かのことで、カッと頭に血がのぼるようなときがある。激怒した状態を思い浮かべ
ればよい。

 そのとき、同時に、「怒るな」という命令も、働く。激怒するのを、精神の行動命令とするなら、
「怒るな」と命令するのは、精神の抑制命令ということになる。

 この「失行」についても、精神の行動命令と、抑制命令という考え方を当てはめると、それなり
に、よく理解できる。

 たとえば母親が、子どもに向かって、「テーブルの上のお菓子は、食べてはだめ」「それは、こ
れから来る、お客さんのためのもの」と話したとする。

 そのとき子どもは、「わかった」と言って、その場を去る。が、母親の姿が見えなくなったとた
ん、子どもは、テーブルのところへもどってきて、その菓子を食べてしまう。

 それを知って、母親は、子どもを、こう叱る。「どうして、食べたの! 食べてはだめと言った
でしょ!」と。

 このとき、子どもは、頭の中では「食べてはだめ」ということを理解していた。しかし精神の抑
制命令が弱く、精神の行動命令を、抑制することができなかった。だから子どもは、菓子を食
べてしまった。

 ……実は、こうした精神のコントロールをしているのが、前頭連合野と言われている。そして
この前頭連合野の働きが、何らかの損傷を受けると、その人は、自分で自分を管理できなくな
ってしまう。いわゆるここでいう「失行」という現象が、起きる。

 前述のWEB NEWSの記事によれば、「(前頭連合野は)記憶、感情、集団でのコミュニケ
ーション、創造性、学習、そして感情の制御や、犯罪の抑制をも司る部分」とある。

 どれ一つをとっても、良好な人間関係を維持するためには、不可欠な働きばかりである。一
説によれば、ゲーム脳の子どもの脳は、この前頭連合野が、「スカスカの状態」になっているそ
うである。

 言うまでもなく、脳には、そのときどきの発達の段階で、「適齢期」というものがある。その適
齢期に、それ相当の、それにふさわしい発達をしておかないと、あとで補充したり、修正したり
するということができなくなる。

 ここにあげた、感情のコントロール、集団におけるコミュニケーション、創造性な学習能力と
いったものも、ある時期、適切な指導があってはじめて、子どもは、身につけることができる。
その時期に、ゲーム脳に示されるように、脳の中でもある特異な部分だけが、異常に刺激され
ることによって、脳のほかの部分の発達が阻害されるであろうことは、門外漢の私にさえ、容
易に推察できる。

 それが「スカスカの脳」ということになる。

 これから先も、この「ゲーム脳」については、注目していきたい。

(補記)大脳生理学の研究に先行して、教育の世界では、現象として、子どもの問題を、先にと
らえることは、よくある。

 たとえば現在よく話題になる、AD・HD児についても、そういった症状をもつ子どもは、すでに
40〜50年前から、指摘されていた。私も、幼児に接するようになって36年になるが、36年前
の私でさえ、そういった症状をもった子どもを、ほかの子どもたちと区別することができた。

 当時は、もちろん、AD・HD児という言葉はなかった。診断基準もなかった。だから、「活発型
の遅進児」とか、「多動性のある子ども」とか、そう呼んでいた。「多動児」という言葉が、雑誌な
どに現れるようになったのは、私が30歳前後のことだから、今から、約30年前ということにな
る。

 ゲーム脳についても、最近は、ポジトロンCT(陽電子放射断層撮影)や、ファンクショナルM
RI(機能的磁気共鳴映像)いう脳の活性度を映像化する装置などの進歩により、脳の活動そ
のものを知ることによって、その正体が、明らかにされつつある。

 しかし現象としては、今に始まったことではない。私が書いた、「脳が乱舞する子ども」という
のは、そういう特異な現象をとりあげた記事である。
(はやし浩司 脳が乱舞する子ども 子供 ゲーム脳 前頭連合野 管理能力 脳に損傷のあ
る子ども 子供 失行 ドイツ シュルツ 医師 行動命令 抑制命令 はやし浩司)







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高層住宅と子どもの心理

子どもの環境を考える法

子どもが環境に影響されるとき 

●オムツがはずせない子ども

 今、子どもたちの間で珍現象が起きている。4歳を過ぎても、オムツがはずせない。幼稚園
や保育園で、排尿、排便ができず、紙オムツをあててあげると、排尿、排便ができる。6歳にな
っても、大便のあとお尻がふけない。

 あるいは幼稚園や保育園では、大便をがまんしてしまう。反対に、その意識がないまま、あた
りかまわず排尿してしまう。原因は、紙オムツ。最近の紙オムツは、性能がよすぎる(?)た
め、使用しても不快感がない。子どもというのは、排尿後の不快感を体で覚えて、排尿、排便
の習慣を身につける。たとえば昔の布オムツは、一度排尿すると、お尻が濡れていやなものだ
った。この「いやだ」という感覚が、子どもの排尿、排便感覚を育てる。

 このことをある雑誌で発表しようとしたら、その部分だけ削られてしまった(M誌・98年)。「根
拠があいまい」というのが表向きの理由だったが、実は同じ雑誌に広告を載せているスポンサ
ーに遠慮したためだ。根拠があるもないもない。こんなことは幼稚園や保育園では常識で、そ
れを疑う人はいない。紙オムツをあててあげると排尿できるというのが、その証拠である。

●流産率は39%!

 ……というような問題は、現場にはゴロゴロしている。疑わしいが、はっきりとは言えないとい
うようなことである。その一つが住環境。高層住宅に住んでいる子どもは、情緒が不安定にな
りやすい……?

 実際、高層住宅が人間の心理に与える影響は無視できない。こんな調査結果がある。たとえ
ば妊婦の流産率は、6階以上では、24%、10階以上では、39%(1〜5階は5〜7%)。

 流・死産率でも6階以上では、21%(全体8%)(東海大学医学部逢坂文夫氏)。

 マンションなど集合住宅に住む妊婦で、マタニティブルー(うつ病)になる妊婦は、一戸建ての
居住者の四倍(国立精神神経センター北村俊則氏)など。母親ですら、これだけの影響を受け
る。いわんや子どもをや。が、さらに深刻な話もある。

●紫外線対策を早急に

 今どき野外活動か何かで、まっ赤に日焼けするなどということは、自殺的行為と言ってもよ
い。私の周辺でも、何らかの対策を講じている学校は、一校もない。無頓着といえば、無頓
着。無頓着すぎる。オゾン層のオゾンが1%減少すると、有害な紫外線が2%増加し、皮膚が
んの発生率は4〜6%も増加するという(岐阜県保健環境研究所)。

 実際、オーストラリアでは、1992年までの7年間だけをみても、皮膚がんによる死亡件数
が、毎年10%ずつふえている。日光性角皮症や白内障も急増している。そこでオーストラリア
では、その季節になると、紫外線情報を流し、子どもたちに紫外線防止用の帽子とサングラス
の着用を義務づけている。が、この日本では野放し。オーストラリアの友人は、こう言った。「何
も対策を講じていない? 信じられない」と。ちなみにこの北半球でも、オゾンは、すでに10〜
40%(日本上空で10%)も減少している(NHK「地球法廷」)(※)。

●疑わしきは罰する

 法律の世界では、「疑わしきは、罰せず」という。しかし教育の世界では、「疑わしきは、罰す
る」。子どもの世界は、先手先手で守ってこそ、はじめて守ることができる。害が具体的に出る
ようになってからでは、遅い。たとえば紫外線の問題にしても、過度な日焼けはさせない。紫外
線防止用の帽子を着用させる、など。あなたが親としてすべきことは多い。

※ ……日本の気象庁の調査によると、南極大陸のオゾンホールは、1980年には、面積が
ほとんど0だったものが、1985年から90年にかけて南極大陸とほぼ同じ大きさになり、200
0年には、それが南極大陸の面積のほぼ2倍にまで拡大しているという。

 この日本でも北海道の札幌市での上空オゾンの全量が、約370(m atm-cm)から、340(m 
atm-cm)にまで減少しているという。

 なお本文の中の数値とは多少異なるかもしれないが、気象庁は次のように発表している。
「成層圏のオゾンの量が1%減ると、地上に降りそそぐ紫外線Bの量は、1・5%ふえる。国連
環境計画(UNEP)1994年の報告によると、オゾン量が1%減少すると、皮膚がんの発生が
2%、白内障の発生が0・6〜0・8%ふえると予測している」と。

●危険な高層住宅?

 逢坂文夫氏(東海大学医学部)は、横浜市の3保健所管内における4か月健診を受けた母
親(第一子のみを出生した母親)、1615人(回収率、54%)について調査した。結果は次のよ
うなものであったという。

 流産割合(全体)       …… 7・7%
     一戸建て       …… 8・2%
     集合住宅(一〜二階) …… 6・9%
     集合住宅(三〜五階) …… 5・6%
     集合住宅(六〜九階) ……18・8% 
     集合住宅(一〇階以上)……38・9%

 これらの調査結果でわかることは、集合住宅といっても、一〜五階では、一戸建てに住む妊
婦よりも、流産率は低いことがわかる。

 しかし六階以上になると、流産率は極端に高くなる。また帝王切開術を必要とするような異常
分娩についても、ほぼ同じような結果が出ている。一戸建て、14・9%に対して、六階以上で
は、27%など。これについて、逢坂氏は次のようにコメントしている。「(高層階に住む妊婦ほ
ど)妊婦の運動不足に伴い、出生体重値の増加がみられ、その結果が異常分娩に関与するも
のと推察される」と。

 ただし「流産」といっても、その内容はさまざまであり、また高層住宅の住人といっても、居住
年数、妊娠経験(初産か否か)、居住空間の広さなど、その居住形態はさまざまである。その
居住形態によっても、影響は違う。逢坂氏はこの点についても、詳細な調査を行っているが、
ここでは割愛する。詳しくは、「保健の科学」第36巻1994別冊七八一ページ以下に掲載。

●流・死産の原因

 流・死産の原因の一つとして、「母親の神経症的傾向割合」をあげ、それについても 逢坂文
夫氏は調査している。

 神経症的傾向割合 全体     …… 7・5%
     一戸建て        …… 5・3%
     集合住宅(一〜二階) …… 10・2%
     集合住宅(三〜五階) ……  8・8%
     集合住宅(六階以上) …… 13・2%

 この結果から、神経症による症状が、高層住宅の六階以上では、一戸建て住宅に住む母親
より、約2・6倍。平均より約二倍多いことがわかる。この事実を補足する調査結果として、逢
坂氏は、喫煙率も同じような割合で、高層階ほどふえていることを指摘している。たとえば一戸
建て女性の喫煙率、9・0%。集合住宅の一〜二階、11・4%。三〜五階、10・9%。六階以
上、17・6%。


Hiroshi Hayashi++++++++++06+++++++++++はやし浩司

子どもの環境を考える法(高層住宅に気をつけろ!)
子どもが環境に影響されるときA 

●大きな反響

 先に「疑わしきは罰する」の中で、「高層住宅の10階以上に住む妊婦の流産率は、39%」
「(マンションなど高層住宅に住む人で)、マタニティブルー(妊娠関連うつ病)になる人は、一戸
建ての家に住む人の4倍」などと書いた。

 このコラムは新聞(中日新聞・2001年春)に発表したが、大きな反響を呼んだ。と同時に、
多くの人に不安を与えてしまった。報道部の人ですら、「本当ですか?」「建設会社から、抗議
がきたのでは……」と言ってきた。しかしそこに書いたことに、まちがいはない。私はそのコラ
ムを書くにあたって、前もってそれぞれの研究者と手紙で連絡を取り、元となる論文を入手し
た。しかもある程度の反響は予測できたので、担当のI氏には論文のコピーを渡しておいた。

●心理的な風通しをよくする

 ただし流産の原因については、高層住宅とそのまま結びつけることはできない。高層住宅の
もつ問題点を知り、対応策を考えれば、流産は防げる。逢坂氏も流産率が高いことについて、
「居住階の上昇に伴い、外に出る頻度(高さによる心理的、生理的、物理的影響)が減少する」
(「保健の科学」第三六巻一九九四別冊七八三)と述べている。

 高層階に住んでいると、どうしても外出する機会がへる。人との接触もへる。それが心理的な
ストレスを増大させる。胎児の発育にも悪い影響を与える。そういういろいろな要因が重なっ
て、それが流産につながる、と。このことを言いかえると、高層階に住んでいても、できるだけ
外出し、人との交流を深めるなど、心理的な風通しをよくすれば、流産は防げるということにな
る。事実、高層階になればなるほど、心理的なストレスが大きくなることは、ほかの多くの研究
者も指摘している。

●マンション住人の平均死亡年齢は、57・5歳

 たとえば平均死亡年齢について、マンション住人の平均死亡年齢は、57・5歳。木造住宅の
住人の平均死亡年齢は66・1歳。およそ九歳もの差があることがわかっている(島根大学中
尾哲也氏・「日本木材学会」平成七年報告書)。さらにコンクリート住宅そのものがもつ問題点
を指摘する研究者もいる。

●好ましい木造住宅?

 マウスを使った実験だが、コンクリート住宅と木造住宅について、静岡大学農学部水野秀夫
氏は、興味深い実験をしている。水野氏の実験によれば、木製ゲージ(かご)でマウスを育てた
ばあい、生後20日の生存率は、85・1%。しかしコンクリートゲージで育てたばあいは、たった
の6・9%ということだそうだ。水野氏は、気温条件など、さまざまな環境下で実験を繰り返した
ということだが、「あいにくとその論文は手元にはない」とのことだった。

 ただこの実験結果をもって、コンクリート住宅が、人間の住環境としてふさわしくないとは断言
できない。マウスと人間とでは、生活習慣そのものが違う。電話で私が、「マウスはものをかじ
るという習性があるが、ものをかじれないという強度のストレスが、生存率に影響しているので
はないか」と言うと、水野氏は、「それについては知らない」と言った。また私の原稿について、
水野氏は、「私はコンクリート住宅と木造住宅の住環境については調査はしたが、だからとい
って高層住宅が危険とまでは言っていない」と言った。水野氏の言うとおりである。

 ほかにコンクリート製ゲージで育ったマウスは、生殖器がより軽い、成長が遅いなどというこ
とも指摘されている(前述、水野氏)。さらに高層住宅にいる幼児は、体温そのものが低く、三
六度以下の子どもが多い(「子どもの健康と生活環境」V四一・小児科別冊)など。こういう事実
をふまえて、私は、「子どもは当然のことながら、母親以上に、住環境から心理的な影響を受
ける」と書いた。

●結局は私たちの問題

 こうした事実があるにもかかわらず、日本の政府は、ほとんど対策をとっていない。一人、
「そうは言っても、都会で一戸建てを求めるのは難しいです」「日本の住宅事情を考えると、高
層住宅を否定することもできません」と言った人もいた。しかしここから先は、参考にする、しな
いの問題だから、判断は、読者の方がすればよい。ただこういうことは言える。あなたや子ども
の健康を守るのは、あなた自身であって、国ではないということ。こうした建設がらみの問題で
は、国は、まったくあてにならない。

(以下、参考資料をそのまま、掲載させていただきます。)

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以下の内容については、
杏林書院(出版元・東京都文京区湯島4−2−1)まで、お問い合わせください。

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