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(浜松6)
佐鳴湖(さなるこ)という湖がある。水質はよくないらしいが、見た目には、美しい湖である。周囲の環境も、よく整備されている。散歩したり、弁当を食べたりすることができる。
この佐鳴湖の東岸、西岸は、今では、浜松市内でも、最高級住宅地ということになっている。しゃれた家並み、環境……。どれも、住宅雑誌から飛び出したような家ばかり。
散歩をしていると、どこかの国の、住宅地を歩いているかのような錯覚を覚える。
もっとも、私の家は、その住宅地のはずれにある。1ランクも、2ランクも、下の住宅地(近所のみなさん、失礼!)。「いつかは……」と思ってがんばった時期もあったが、今は、もうあきらめた。というより、ここのほうが、気楽。人には、それぞれ、身分相応というものがある?
この土地のこの家で、死ぬことができたら、御の字。むしろ、感謝している。
ときどきワイフとこう言いあうことがある。
「とくにいい生活をしたというわけではないけど、まあ、それほど苦労もなく、今まで生きてこられたのは、ラッキーだったね」と。
(05・01・15記)
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