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(浜松2)
私はもともと田舎人間。都会も嫌いではないが、しかし田舎のほうが、心が落ちつく。心が休まる。田舎は退屈だという人もいるが、それは田舎での遊び方を知らないからではないか。
私は子どものころ、毎日、真っ暗になるまで、近くの山の中で遊んでいた。
だから今でも、山の中を歩いていて、小さなほら穴などを見つけたりすると、「ぼくなら、陣地をつくるのに……」と思ってしまう。そう、子どものころは、陣地づくりばかりをしていた。
穴の中につくこともあったが、木の上につくることもあった。寺の床下につくったこともある。
そこは私だけの特別の空間。だれにもじゃまされない、特別の空間。それが陣地だった。
……そうした強い思いが残っていたのだろう。浜松に住むようになってからすぐに、私は、「いつか、ぼくは、山の中に山小屋を建てる」と、心に誓った。そして読む雑誌といえば、その種の雑誌ばかり。
で、その山小屋を建てて、今年で、13年目になる。早いものだ。土地づくりに、それまでに、6年もかかったから、通算で、19年!
建てた当初は、毎週のように泊まったり、客を呼んだりしたが、このところは、行っても、数時間、昼寝をしてくるだけ。「もったいない」と、思うことは、よくある。
しかしその数時間が、貴重。私は、月曜日から金曜日までを、その数時間のために生きているような気がする。
(05・01・15記)
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